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良質な精神保健医療福祉の提供体制構築を目指したモニタリング研究(厚生労働行政推進調査事業費補助金)

 本研究は、精神科と他の診療科との連携、地域の多様な生活支援との連携による良質かつ適切な精神医療の持続的な確保のための要件を明らかにすることを目的として行っている政策研究です。
 そのために精神保健医療福祉の提供の促進を図るモニタリングの体制を構築すること、更に次期医療計画や我が国が掲げている「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」に資する指標や必要病床数の算定式の提案、精神保健医療福祉に関する全国悉皆調査、それらを行政機関が利活用しやすいように可視化するための研究などを行い、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)に貢献していきます。
 本研究は6つの分担研究によって組織されており、各々の領域の専門家と一緒に研究を進めています。

A班:良質な精神保健医療福祉の提供体制構築を目指した指標に関する研究

次期医療計画に資する指標作成のために、他の分担班と連携を取りながら、各自治体の指標の利活用状況分析、代替可能なデータソースの検討、エキスパートコンセンサスを経て研究班より提案を行い、また基準病床算定式の提案を行いました。今後は各指標の定期モニタリングを行い、行政活用に資するデータを公表していきます。

B班:精神保健医療福祉の提供のモニタリングに関する研究

精神保健医療福祉の現状把握を行う全国悉皆調査であるいわゆる630調査(ロクサンマル調査)を行っています。630調査は前身の調査は昭和29年ごろから定期的に行われ、現在の精神保健福祉法のモニタリングの役割を担っております。

C班:精神科入院患者の重症度に応じた医療体制の確保に関する研究

一般医療においては、疾患名・合併症の有無・術後様態変化・看護必要度等をもとに、患者ごとの重症度がある程度客観評価され、DPCモデルの分岐点や、救急医療の評価等に活用されていますが、精神医療においてはそうした公的な指標が存在していません。この課題では重症度等の指標案について検討を行っています。

D班:精神医療の提供体制および実態把握に関する研究

我が国の精神科医療の現状を把握するために、非常に悉皆性の高いデータベースであるNDB(ナショナルデータベース)を用いて、各都道府県における医療計画の数値目標、指標等を抽出し公共性の高いデータを公表することを目的としています。

E班:精神保健医療福祉の可視化に関する研究

先行研究で開発されたReMHRAD(地域精神保健医療福祉資源分析データベース:リムラッド)は、本研究の他の分担研究の成果等を活用して、研究、行政、市民の利用を想定した、それぞれのニーズに対応できる構造化を進めています。具体的にはNDBや630調査のデータを掲載し、見える化を進めています。

F班:措置通報及び措置入院の実態に関する研究

措置入院患者コホートについて、病状や状態の変化、提供された医療等のサービス、また退院後の転帰に関する前向きコホート調査の結果の分析や、検察官通報の実態について措置通報や措置入院の転帰にまつわる課題を明らかにしていくことを目的としています。

西, 臼田