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精神疾患に関わる認知・社会行動の発達機構の解明

自閉症や統合失調症といった精神疾患の多くは、幼少期・思春期に発症し、自我障害等の認知・社会行動の失調をきたします。疾病研究第三部では、発達期における高次脳機能の解析にアドバンテージのあるラットならびにマーモセットモデルを用い、特に理解の進んでいない「自己形成」にかかわる認知・社会行動の発達回路機構の解明を目指します。

アプローチとしては、最新の回路操作・測定技術と、機械学習を用いた行動解析技術を統合し、未開拓であった発達期中の個体における認知・社会性行動時の回路機能とその病態を明らかしてゆきます。さらに、特定の神経回路機能と行動に対応した機能バイオマーカーとドラッグターゲットを同定することで、ヒト精神疾患の解明と克服に向けた橋渡しを目指します。

1) 自己と他者の社会相互作用の発達に関わる神経回路機構

私達は、「自己」の謎に迫る切り口として、自己と他者の境界ともいえる「社会距離」に着目し、社会距離を制御する神経回路ネットーク機構の解明を目指した研究を進めています。ラットとマーモセットの両モデルにおいて、回路操作時に共通の多階層の指標(神経・生理・行動指標)を計測・解析することで、社会距離を制御する回路活動に連動するバイオマーカーを同定し、回路障害に基づいた精神疾患の病態診断や治療法開発に資する研究を目指します。中長期的には、発達の臨界期機構、精神疾患モデルでの解析、ヒトへの橋渡し研究を目指します。

2) 自己認識の発達に関わる神経回路機構

自己の内部の状況を把握し自己の行動を適切に調整する自己認識機能であるメタ認知は、ヒトでは幼少期から思春期にかけて発達します。しかし、どの神経回路が、発達のどのタイミングでどのようにメタ認知の成熟に寄与するのかは全く不明です。私達は、ラットとマーモセットモデルを用い、メタ認知行動の経験依存性の発達に関わる回路機構を明らかにすることで、発達障害や精神疾患に認められる自己認識障害の病態の解明と克服を目指します。

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