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トランスジェニックマウス作製

一般的なプラスミドDNA あるいは BAC DNAを、マウス受精卵前核へインジェクション後、偽妊娠状態の仮親に移植・着床させることにより、標的遺伝子を発現するマウス個体を得る技術です。当センター実験動物施設内で常時稼働させています。
(写真は Manipulating the Mouse Embryo, 3rd editionより)

哺乳類 全胚培養

哺乳類の初期発生は母体内で進むため、実はまだよくわかっていないことがたくさんあります。特に子宮壁奥深くに着床してから超音波による解像度が十分になる時期までにおこる動的な現象については、取り出された胚の様子をコマ切れにつなぎ合わせて想像していることが多いのが実状です。
この回転培養装置(胚を入れるボトルを常時回転させると同時に適量の酸素を常時供給できるように工夫されている)を用いるとこのような時期に胎盤とともに摘出した哺乳類胚を試験管内で2〜3日の間、母体内と同様の形態形成ダイナミクスを維持することができます。これによって薬物の催奇形性はもちろんのこと、脳発生の初期におこる動的過程(神経誘導、神経管形成、神経分節形成、神経回路網形成など)が検証可能となっています。

CRISPR/Cas9ゲノム編集による遺伝子改変マウス作製

2013年後半から世界中で急速に普及し、2020年ノーベル化学賞を受賞した新しいゲノム編集技術を駆使して、遺伝子改変マウス作出を行なっています。(研究業績欄、2019年総説「クローニングフリーCRISPR/Cas9法によるノックインマウス作製術」を参照)
CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)は、ゲノムDNA上の標的配列に特異的結合するガイドRNAと、ガイドRNAを認識してDNA二本鎖切断を導入するCas9ヌクレアーゼから成るシステムで、これらをマウス受精卵へインジェクションすると、塩基配列情報が破壊されることによって遺伝子ノックアウトを得ることができます。ドナーDNAを共存させることにより、塩基置換や遺伝子カセットのノックインも可能です。多大な時間・コスト・労力を伴う従来のノックアウトマウス・ノックインマウス作製法に比べると、非常に短期間に低コストで遺伝子改変を行うことができます。