NCNP 行動医学研究部

研究テーマ1 PTSDの治療研究

PTSDの治療研究

研究内容

複雑性PTSDに関する認知行動療法の検討

複雑性PTSDに対する認知行動療法である、STAIR/NSTの日本での実施可能性、安全性、有効性を検討するために、オープン前後比較試験を実施中である。またSTAIR/NSTの治療原理と治療マニュアルが書かれた翻訳書を出版した。加えて国際トラウマ面接(International Trauma Interview)最新版の日本語版を作成した。

PTSDの病態解明と治療効果予測法開発に向けた,遺伝子・バイオマーカー・心理臨床指標による多層的検討

トラウマ体験者(PTSD群,非発症群)と健常者を対象とし、遺伝子解析・発現解析、内分泌・免疫系マーカー測定、自律神経機能解析,、脳MRI計測、認知機能測定、心理・臨床評価を行う。PTSD群については、治療反応性との関連も検討する。PTSDの病因病態解明、生物学的指標に基づく客観的治療効果予測法の開発を目指す。名古屋市立大学精神医学教室と共同で実施しており、これまでに248名のデータを収集し継続中。

PTSDに対するメマンチンの有効性に関するオープン臨床試験

PTSD患者において、抗認知症薬メマンチンの有効性を検討する。本研究では、予備的検討としてオープン臨床試験を行い、効果サイズや安全性を検討することにより、 RCTのプロトコールの作成を目的とする。本年度中に計10名の実施が完了し、中間解析結果を論文で発表した。また、メマンチン治療前後で遺伝子発現解析や内分泌・免疫系測定、脳MRI計測を行い、治療効果機序の解明および治療効果サロゲートマーカーの開発を目指す。

ヒト毛髪を用いた精神疾患バイオマーカーの探索

気分障害、精神病性障害、PTSD等の精神疾患を対象として、毛髪中のステロイドホルモンなどの濃度を測定し、バイオマーカーの同定を目的とする。神経研究所疾病研究第三部、センター病院,、MGCバイオリソース部との共同研究として実施しており、被験者リクルート中である。