NCNP 行動医学研究部

研究テーマ3 摂食障害の治療支援および病態研究

摂食障害の治療支援および病態研究

研究内容

摂食障害(拒食症、過食症など)は、国内の推定患者数が約20万人以上とされています。特に拒食症(神経性やせ症)は身体的にも重篤化しやすく死亡率も高く、心身両面からの治療支援が必要な疾患です。当研究室では、摂食障害の予防、早期発見、急性期治療、慢性期・回復期の支援などの総合的な対策のために、日本国内の各施設と協同で、以下の調査・研究・支援を実施しています。

1)摂食障害全国支援センターの運営および相談・治療・支援体制の拡充

全都道府県への摂食障害支援拠点病院の設立による相談・治療・支援体制の拡充を目指して、摂食障害支援拠点病院(宮城県、千葉県、静岡県、福岡県)とともに、①摂食障害の診療実態調査、②当事者・医療従事者を対象とした相談窓口・ポータルサイトの運営、③医療従事者に対しする各種研修会の開催、をしています。

2)神経性過食症に対する認知行動療法の効果検証および治療者育成

2018年に保険収載された、神経性過食症に対する認知行動療法の効果検証を目指して、多施設共同(国立精神・神経医療研究センター、東北大、東京大、国際医療福祉大、国立国際医療研究センター、九州大)で、ランダム化比較試験を実施しています。また、日本摂食障害学会、日本心身医学会、日本心療内科学会と協同で、神経性過食症への認知行動療法治療者育成のための研修会を開催しています。

3)摂食障害の認知行動療法効果の神経科学的エビデンスの創出

摂食障害患者の、早期診断、認知行動療法への治療反応予測に資する神経科学的バイオマーカーの開発を目指して、認知行動療法前後での脳MR画像を多施設共同(国立精神・神経医療研究センター、東北大、千葉大、東京大、京都大、産業医科大、九州大)で収集しています。令和4年1月までに、世界最大の神経性やせ症102例の脳画像データベースを構築し、脳画像診断マーカーの開発を進めています。