知的・発達障害研究部の概要
当研究部では、認知科学、神経生理学的アプローチを中心に据え、多様な専門性を持った専門家が協働し、知的・発達障害の病因・病態研究モデルの確立を目指しています。注意欠如・多動症の不注意、多動性-衝動性には薬 物療法が実施されていますが、自閉スペクトラム症の中核症状に有効性を示す薬物はまだ確立していません。新たな治療法を開発すること、診断や治療反応性を規定するバイオマーカーの同定、治療抵抗性の難治性トゥレット症のレ ジストリ構築を目指す研究も行っています。また、知的・発達障害にしばしば併存することの多い精神疾患の早期兆候を見いだす前向きコホート研究も行っています。
治療や支援に当たっては、当事者や家族の意思を最大限尊重することが大切で、共同意思決定を助けるデシジョン・エイドを作成しています。また、注意欠如・多動症の治療にはペアレント・トレーニングなどの心理社会的治療が実施されますが、その普及・啓発をはかることも大切なミッションです。厚生労働省の事業として、平成28年度より実施されているかかりつけ医等発達障害対応力向上研修事業において、当研究部は本事業の講師となる医師や行政関係者への研修事業を実施しています。
さらに、知的・発達障害の方々が必要としている他領域にわたる正しい情報を発信し、知的・発達障害の理解の促進、当事者の方が、医療、保健、教育、福祉など生活しやすい社会の実現に寄与したいと考えています。当研究部では、児童精神医学、小児神経学、臨床心理学、実験心理学、神経生理学、動物実験学、生化学など、多様な専門性を持った専門家が、知的・発達障害の病因・病態解明、診断法、治療・支援法開発という共通の目標に向けて取り組んでいます。さらに日本全国のプロフェッショナルが客員研究員として在籍するほか、多機関連携により精緻かつ大規模な研究を展開し、画期的な研究知見を得て、当事者、社会に還元したいと考えています。
当研究部の出身者は、国内外の研究機関に異動し、チームリーダーとして知的・発達障害領域の研究を牽引し、新たな人材の育成に携わってきました。当部の研究者がそれぞれのポテンシャルを活かしながらシナジーを産み出し、同時に研究者のキャリアパス形成に寄与することも大切な役割です。研究の独立性や自由で柔軟な発想が担保されることが大切である一方、それが当事者、社会のニードから離れることがあってはなりません。もっとも大切なことは、当事者、社会に寄与することを大切にした臨床的な視点が独創的な研究の礎に貫かれていることです。そのためには高い倫理性と当事者、社会に献身する心が求められます。私どもは、自由闊達な研究部の雰囲気のもと、常に対話と協働を重んじ、互いに研鑽を積みながら、知的・発達障害研究の新地平を切り拓く研究に鋭意取り組んでいます。
TOPICS
第13回 発達障害支援医学課程研修プログラム
第14回 発達障害支援医学課程研修プログラム
2013年1月30日~1月31日
第9回 発達障害支援医学課程研修プログラム
第10回 発達障害支援医学課程研修
2011年2月9日~2月10日(※プログラムは2010年8月頃に確定します)