慢性虚血と神経変性疾患

神経変性疾患の発症には遺伝的背景に加えて、加齢、さまざまな生活習慣、疾病リスク、などが複雑に絡み合っています。動脈硬化は血管狭窄を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害リスクとして有名ですが、実は神経変性疾患の病態にも影響を与えています。代表的な神経変性疾患であるアルツハイマー病では、動脈硬化は重要なリスク因子であることがわかっています。当研究室ではマウスの総頸動脈にマイクロコイルを装着して頸動脈狭窄を引き起こし、動脈硬化による脳血流低下をモデル化しています。アルツハイマー病モデルマウスを用いた検討では、脳血流低下による脳間質液のダイナミクス低下がアルツハイマー病の病態を加速することが示されました。