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2014年農林水産研究成果10大トピックスに選定
「鶏肉のイミダゾールジペプチドの脳老化改善効果を発見」
-鶏肉摂取を介した認知症予防の取組に道を拓く-

2014 年12月18日
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP,東京都小平市 総長:樋口輝彦)脳病態統合イメージングセンター(Integrative Brain Imaging Center; IBIC,センター長:松田博史)が東京大学(研究代表機関)、九州大学および日本ハム株式会社と取り組む研究成果「鶏肉に含まれる高機能ジペプチドを用いた中高齢者の心身健康維持に関する研究」が、2014年12月10日に「2014年農林水産研究成果10大トピックス」に選定されました。

 農林水産研究成果10大トピックスは、1年間に新聞記事となった民間、大学、公立試験研究機関及び独立行政法人研究機関の農林水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など29社加盟)の協力を得て選定されたものです。

■「2014年農林水産研究成果10大トピックス」の選定について(農林水産省ホームページ)

http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/141210_2.htm

■当該研究のNCNPの役割について

 脳病態統合イメージングセンター(IBIC)は、3テスラのMRI装置を用いてイミダゾールジペプチドの脳老化予防効果を検証しています。

 まず、参加者全員の構造的MRIと機能的MRIを撮像します。その後、参加者にイミダゾールジペプチド食またはプラセボ食を数か月、毎日摂取してもらった後に再度MRIを撮像します。第3者により無作為に割り付けられ、参加者およびMRI撮像する研究者は、イミダゾールジペプチド食とプラセボ食のいずれが摂取されているかわかりません。このような研究方法でイミダゾールジペプチド食摂取によってプラセボ食に比べ有意に前頭前野の脳萎縮の進行が抑制されることがわかりました。(図)

 このようにIBICは多施設にわたるMRIをはじめとする脳画像研究の拠点施設として活動しています。

(図)脳MRI検査結果の画像

イミダゾールジペプチド摂取によってプラセボ食に比べ有意に前頭前野(Brodmann 45野)の脳萎縮の進行が抑制される (黄色枠の赤色部分)


■当該研究成果のポイント(農林水産省 農林水産技術会議ホームページより)

鶏肉に多く含まれる成分であるイミダゾールジペプチドについて、高含有試験食を用いて中高齢者を対象に、長期摂取のヒト試験を行ったところ、脳MRI画像検査と心理機能検査の結果に、試験食を摂取していない群との有意な差が認められ、イミダゾールジペプチド摂取による脳老化の改善効果があることが判明した。

本研究は、農林水産省の農業・食品産業科学技術研究推進事業「鶏肉に含まれる高機能ジペプチドを用いた中高齢者の心身健康維持に関する研究」により実施された。

■期待される効果・今後の展開など(農林水産省 農林水産技術会議ホームページより)

鶏肉に多く含まれるイミダゾールジペプチドに脳老化の改善効果があることから、認知症の発症を予防する食品として活用されることが期待される。また、血中の特定遺伝子の変化等により、脳老化防止メカニズムが明らかにされつつあり、認知症予防に効果のある機能性食品の研究に応用可能な、波及性の高い研究になると期待される。

■参考資料

平成25年度「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」における新規研究課題の概要
http://www.s.affrc.go.jp/docs/gaiyou/index.htm
シーズ創出ステージAタイプ
25012A 鶏肉に含まれる高機能ジペプチドを用いた中高齢者の心身健康維持に関する研究

【お問い合わせ先】

【研究に関すること】
●研究代表機関

(国)東京大学大学院領域創成科学研究科
准教授 久恒辰博
Email: hisatsune@k.u-tokyo.ac.jp

●NCNPへの研究に関するお問い合わせ
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター
脳病態統合イメージングセンター(IBIC)
IBICセンター長 松田博史(まつだ ひろし)
E-mail:matsudah@ncnp.go.jp

【報道に関すること】
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター
総務課 広報係
TEL:042-341-2711(代表)

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