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国立精神・神経医療研究センター 吉池卓也 研究生
第20回日本睡眠学会研究奨励賞(非臨床系論文)を受賞

2015年7月22日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市理事長:樋口輝彦)・精神保健研究所(所長:福田祐典)成人精神保健研究部 吉池卓也 研究生は、第20回日本睡眠学会研究奨励賞(非臨床系論文)を受賞し、2015年7月3日の日本睡眠学会第40回定期学術集会会場において表彰されました。

 日本睡眠学会研究奨励賞は、臨床系論文(疾患対象)、非臨床系論文(非疾患対象)、機関紙掲載論文の三部門において、睡眠の生理学的機構の解明に多大な貢献をもたらし、将来性のある優れた原著論文を発表した45歳未満の同学会員を対象としたものです。吉池卓也研究生は、同学会研究奨励賞選考委員会による厳正な審査を経て、非臨床系論文に対する褒賞として今回の受賞に至りました。

■研究概要
 ストレス脆弱性を反映する神経症人格特性は、睡眠の満足度が低下する傾向と関連する一方、睡眠不足でも注意力が低下しづらい特性を有する可能性が示唆されていましたが、背景神経基盤はわかっていませんでした。同研究生らは、神経症人格特性の高い個人では、睡眠満足度を低下させやすい脳機能と、睡眠不足でも覚醒度を高く維持する脳機能が共存し、これが注意や判断を司る前頭前野の機能特性と強く関連していることを、健康成人を対象とした神経機能画像研究で明らかにしました。

本結果は、高度な神経症人格特性が不眠症の発症リスクを高める反面、交代勤務等で急な睡眠不足にさらされても認知(注意維持)機能の低下を最小限にとどめる適応性をもたらす可能性を示しています。さらに、本研究で用いた機能的近赤外線分光法による前頭葉機能検査を、診察室等で簡便に実施可能な不眠症の診断補助技法として応用できる可能性を示しており、これを実現すべく発展的な研究を計画しています。

■研究論文
Yoshiike T, Kuriyama K, Honma M, Ikeda H, Kim Y. Neuroticism relates to daytime wakefulness and sleep devaluation via high neurophysiological efficiency in the bilateral prefrontal cortex: A preliminary study. Psychophysiology 51: 396-406, 2014.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24660887

表彰を受ける吉池卓也研究生(写真提供:日本睡眠学会)
表彰を受ける吉池卓也研究生(写真提供:日本睡眠学会)

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