NCNP 行動医学研究部

スタッフの紹介

スタッフ

石渡 小百合 (ISHIWATA Sayuri)

認知機能研究室 室長

研究内容・略歴

私は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)大学院博士課程(医学)において、脳内D-セリン系の代謝・機能および病態に関わる分子機構の解明に取り組んできました。特に、統合失調症の病態下におけるD-セリンの役割や、新規治療標的としての可能性に着目して研究を進めてきました。その過程で、精神疾患患者においてD-セリンが実際にどのように変動しているのかを明らかにすることの重要性を認識し、国立精神・神経医療研究センター疾病研究第三部(功刀浩部長)のもとで、統合失調症および大うつ病患者の脳脊髄液および血漿サンプルを用いたD-セリンおよびその関連因子の濃度測定を行いました。

さらに、臨床的視点を養うため、同センター病院において薬剤師として勤務し、医療現場における薬物療法の実際や臨床上の課題について理解を深めました。薬剤師としての臨床経験で得られた課題意識を起点とし、疾病研究第三部ではD-セリン以外の因子にも着目し、精神疾患のバイオマーカー探索や治療に資する新規因子の同定を目的とした臨床研究にも取り組みました。

その後渡米し、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のLaboratory of Molecular and Cellular NeurobiologyにてDr. Susan Amaraに師事し、主に基礎研究を中心に研鑽を積みました。

2025年12月より国立精神・神経医療研究センターに着任し、本研究部においては、炎症およびNMDA受容体をキーワードとして、PTSDの病態解明に関する研究を基礎および臨床の両面から進めていきます。「多層・包括的な研究を通じて、PTSDという疾患をより良く理解し、一人ひとりに適した治療・介入法の開発を目指す」という研究部の理念のもと、病態理解からテーラーメイド医療への発展に貢献していきたいと考えています。さらに、研究を通じて精神疾患の理解を深め、臨床現場において個々の患者に最適な治療につながる知見の創出を目指します。