統合失調症のGABA神経仮説に関する研究


Miwa H, et al.

GAD67-mediated GABA Synthesis and Signaling Impinges on Directing Basket Cell Axonal Projections Toward Purkinje Cells in the Cerebellum.
The Cerebellum. 21: 905-919, 2022

GABAは統合失調症、てんかん、不安症、抗GAD抗体関連脳症など様々な精神神経疾患に関与することが報告されている。また、GABAは発達期において栄養因子として作用する可能性も報告されているが、小脳の発達・成熟における役割は不明な点が多い。そこで本研究では、協調運動やバランス調整など小脳に関連する機能に関して、小脳神経回路形成過程におけるGABAシグナルの影響を明らかにするため、GAD65遺伝子欠損マウスやパルブアルブミン陽性GABA作動性ニューロン特異的GAD67遺伝子欠損マウスを用いて解析を行った。その結果、小脳バスケット細胞の軸索側枝上のKチャネルサブユニットKv1.1の局在異常、軸索投射走行の異常およびシナプス伝達特性の変化を観察した。さらに、パルブアルブミン陽性細胞特異的GAD67遺伝子欠損マウスはロタロッド試験における運動協調機能障害を示した。これらの結果から、小脳におけるGABAシグナル経路はバスケット細胞の適切な神経回路形成およびそれに関連する運動協調機能に関して、重要な役割を担うことが示唆された。

2021年10月21日