脳神経外科

脳神経外科

  1. TOP
  2. NCNP病院について
  3. 診療科・部門紹介
  4. 脳神経外科

診療内容・特色

手術室

NCNP脳神経外科は、てんかんの外科治療や脳深部刺激療法(DBS)に代表される機能的脳神経外科を専門に、正常圧水頭症に対するシャント術や、髄膜腫などの一般脳神経外科にも対応しています。特にてんかん外科は乳幼児から成人まで全ての年齢層を対象に行っており、国内でも有数の手術件数を誇ります。
脳磁図(MEG)やPET、高磁場MRI、長時間ビデオ脳波モニタリング、頭蓋内脳波記録など高度な診断技術を用いて、経験豊富な専門スタッフが他科との診療連携によって、患者さんの生活の質を重視した治療を提供します。また、ナビゲーションシステムや術中モニタリングを併用した安全な手術も特徴です。

shinsatsushitsu_dr_iwasaki.JPG

対象となる主な手術

  • てんかん外科: 側頭葉切除,選択的海馬切除,半球離断術,脳梁離断術,迷走神経刺激療法など

  • 脳深部刺激療法(DBS)
    対象疾患: 
    パーキンソン病,ジストニア,本態性振戦,難治性疼痛,トゥレット症候群など

  • 正常圧水頭症に対するシャント術: 脳室腹腔シャント術,腰椎腹腔シャント術,脳室心房シャント術

  • 微小血管神経減圧術
    対象疾患: 
    三叉神経痛、片側顔面けいれん

  • 脳腫瘍摘出術
    対象疾患:
    髄膜腫,神経膠腫など

てんかん外科

SEEG(定位的頭蓋内脳波)

頭蓋骨に小さな孔を開けて、細い脳波電極を7~12本程度、てんかんの原因が疑われる場所に正確に刺入する手術です。2020年4月に保険適応となりました。この手術で入れた電極から記録する頭蓋内脳波検査をSEEGと呼びます。当科では、てんかんの術前検査としてSEEGを積極的に行っています。開頭が必要ないため、従来の硬膜下電極留置と比べて患者さんの負担が軽く、海馬や島回など深部のてんかん焦点の診断に優れています。



難治てんかんに対する定位的温熱凝固治療

熱凝固プローブを病変部に向けて正確に刺入し、ラジオ周波によって発生した熱で病変を処置する手術です。一回に約5mmの範囲が凝固され、これを組み合わせて病巣を処置します。島回や脳室壁などにある深部の皮質形成異常や視床下部過誤腫など、開頭手術では到達が難しい場所のてんかんに向いた治療です。

乳幼児・小児のてんかん外科

当科では、脳神経小児科スタッフと連携して、難治てんかんをもつお子さんの手術適応の判断と周術期管理を行っています。生後3ヶ月もしくは体重5kgを目安に、乳幼児早期の手術も実施しているのが当科の特徴です。片側巨脳症などに対する大脳半球離断術や多脳葉離断術のほか、脳梁離断術や迷走神経刺激療法などあらゆる手術手技に対応します。てんかん発作を軽減することで、抗てんかん薬を減らしたり、お子さんの発達を改善することを目標に治療しています。

family.jpg

DBS・定位手術

脳深部刺激療法(DBS)

脳の深部を電気刺激で調整し、運動機能を改善させる療法です。パーキンソン病、ジストニア、本態性振戦が適応です。当院では脳神経内科、精神科、脳神経小児科と連携し、DBSが患者さんに相応しい治療かどうかを検討しています。
DBSの最適なターゲット(電極を入れる場所)は患者さんごとに異なります。当院では視床下核(STN)、淡蒼球(GPi)、視床Vim核など、患者さんごとに最適なDBS治療法を提供しています。
パーキンソン病では、下記のようなときにDBSが有効な場合があります。

  • お薬が効くが効果持続時間が短くなり、1日の症状に大きな波がある
  • お薬が効くが、副作用のために飲めない
  • ジスキネジア(動きすぎの症状)が出やすい

dbs_gragh.png

opeshitsu_00.JPG

定位凝固術

過剰興奮している脳の一部分を熱により破壊し、運動機能を改善させる治療です。本態性振戦やその他の不随意運動症で広く行われています。DBSと同じように病気の元となる目標に向かって正確に凝固針を入れますが、DBSとの違いは以下のような点です。

利点 欠点
DBS 手術の後に刺激の調整が可能(強弱、場所など) 機械管理が必要
感染の危険がやや高い
凝固術 感染の危険が低い
術後の調整が不要
症状に応じた調整ができない

特発性正常圧水頭症(iNPH)

正常圧水頭症(iNPH)に対するシャント術

脳脊髄液が過剰に溜まり脳に障害を生じる病気を水頭症といいます。交通事故やくも膜下出血などの後に生じる水頭症とは異なり、明らかな原因がなく(特発性)、圧力が高くない(正常圧)ものは特発性正常圧水頭症(iNPH)と呼ばれます。iNPHは高齢者に多く、歩行不安定、失禁、認知機能低下が代表的な症状です。シャント手術によって症状が改善することがあり、「治る認知症」と呼ばれることもあります。当院では物忘れ外来や神経内科、整形外科などと連携し、iNPHを見逃さず適切な治療を行えるように取り組んでいます。
検査入院を行って、手術の効果が期待できるか慎重に判断します。手術の方法(脳室腹腔シャント、腰椎腹腔シャント、脳室心房シャントなど)など、患者さんごとに適切な治療方針を提案します。

old_couple.JPG

スタッフ紹介

岩崎 真樹の顔写真
岩崎 真樹
役職

部長
手術・中央材料部長(兼任)

経歴

東北大医 平成9年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本小児神経外科学会認定医
日本てんかん学会認定臨床専門医
日本臨床神経生理学会認定医
日本てんかん学会理事・評議員
日本臨床神経生理学会代議員
日本てんかん外科学会世話人

専門:
てんかん
臨床神経生理
正常圧水頭症

金子 裕の顔写真
金子 裕
役職

医師

経歴

東京大医 昭和63年卒

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本てんかん学会認定臨床専門医
日本生体磁気学会評議員

専門:
てんかん
脳磁図(MEG)

木村 唯子の顔写真
木村 唯子
役職

医師

経歴

弘前大医 平成15年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本定位・機能神経外科学会技術認定医
日本てんかん学会認定臨床専門医

専門:
脳深部刺激療法(DBS)

飯島 圭哉の顔写真
飯島 圭哉
役職

医師

経歴

群馬大医 平成21年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本てんかん学会認定臨床専門医
日本定位・機能神経外科学会技術認定医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波分野)

診療実績

●手術実績

年間手術件数内訳 2021年 2020年 2019年 2018年
合計 97 119 152 163
てんかん外科 56 76 86 100
 海馬切除・側頭葉切除術 3 5 8 8
 皮質切除・病巣切除術 3 19 17 24
 脳葉切除術 0 3 8 3
 多脳葉切除・離断術 5 5 3 1
 大脳半球離断術 7 3 6 4
 定位的焦点凝固術 5 1
 頭蓋内電極留置術 1 5 16 19
 定位的頭蓋内電極留置(SEEG) 8 4
 脳梁離断術 10 12 16 23
 迷走神経刺激装置植込術 5 10 6 10
 その他 9 9 6 8
不随意運動症(パーキンソン病など)に対する定位手術 27 19 44 34
 脳深部刺激装置植込(DBS) 7 6 17 9
 定位的凝固術 0 0 1 0
 その他 20 13 26 25
水頭症手術 3 4 6 13
 脳室腹腔シャント(VPS) 3 3 5 8
 腰椎腹腔シャント(LPS) 0 1 1 3
 脳室心房シャント(VAS) 0 0 0 2
微小血管神経減圧術(MVD) 0 0 0 0
脳腫瘍摘出術 3 2 0 3
慢性硬膜下血腫 5 2 4 3
その他 3 16 12 10

●診療実績

2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
外来新患数 295 291 389 425 355
入院患者 190 223 246 292 215