てんかんセンター

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てんかんセンターの特色

てんかんは赤ちゃんからお年寄りまでおこる病気ですが、てんかんの原因を早期に発見し、外科手術を含めて早期に適切な治療を行うことで、てんかんによる脳障害を防ぎ、生活の質を高めることができます。このために、当センターでは小児神経科、精神科、脳神経外科、神経内科のてんかん専門医が連携し、診断から薬物治療、外科治療までの高度なてんかん専門医療を行って、あらゆる年代のてんかん患者さんに対応しています。また、センターの研究所および他部門と協力し、てんかんに関する研究を行っています。さらに多科のレジデント医師への教育を行い、てんかん専門医を育成しています。

てんかんセンターの診療内容

てんかんセンターは、小児科・精神科・神経内科・脳神経外科が協力して診療にあたっています。毎週2回、全科が集まりてんかんカンファレンスを行っています。どの科の医師も、基本的なてんかんの診断と治療を行うことに変わりはありません。しかし、外科治療は脳神経外科医にしか出来ませんし、うつ状態や幻覚・妄想状態を併発した場合は精神科治療も必要になります。また、子どもが成長したらいずれ小児科を卒業することを考えなくてはいけません。そのような場合には、2つの診療科の医師が一緒に担当したり、違う診療科に移っていただいたりしています。 てんかんセンターには、小児科・精神科・神経内科・脳神経外科だけでなく多くの診療科と部門がてんかん診療に関わっています。放射線診療部には脳神経疾患の画像読影のエキスパートが、臨床検査部には神経病理のエキスパートが揃っており、毎月てんかんセンターと合同カンファレンスを行って手術症例の臨床病理の検討会を行い、診断の確認と向上、研究に励んでいます。

スタッフ紹介

日本てんかん学会専門医一覧

中川 栄二
役職

てんかんセンター長
外来部長

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医

齋藤 貴志
役職

小児神経科医長

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医

石山 昭彦
役職

小児神経科医長

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医

本橋 裕子
役職

小児神経科医師

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医

住友 典子
役職

小児神経科医師

経歴

専門分野・資格

日本てんかん学会専門医

岡崎 光俊
役職

第一精神診療部長

経歴

専門分野・資格

日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)

金澤 恭子
役職

神経内科医師

経歴

専門分野・資格

日本神経学会専門医
日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)

岩崎 真樹
役職

脳神経外科部長
手術部長

経歴

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)

金子 裕
役職

脳神経外科医師

経歴

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本てんかん学会専門医

稲垣 真澄
役職

精神保健研究所知的・発達障害研究部

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)

加賀 佳美
役職

精神保健研究所知的・発達障害研究部

経歴

専門分野・資格

日本小児神経学会専門医
日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)

てんかんの診断・検査

(1)診察

発作症状を詳しく聞かせていただきます。発作を目撃されたことのあるご家族やお知り合いの方からも一緒にお話を聞かせて頂くと、とても助かります。発作を記録した動画をお持ちいただくと発作型の確認に大変役に立ちます。

(2)検査

  • 脳波: てんかんに特徴的な脳波を記録するために、睡眠中の記録をとったり、過呼吸やストロボの光刺激などの負荷をかけたりします。一度の検査では、てんかん波が記録できないことも多いので、数回にわたって検査をお願いすることがあります。

  • 長時間ビデオ脳波モニタリング: 脳波を記録しながらビデオを撮影し、てんかん発作の型や、発作時の脳波の変化を記録し、てんかん発作が脳のどの部位から生じているかを判断するために重要な検査です。てんかん発作とそれ以外の症状を区別するためにも必要です。検査には入院が必要で、1日(24時間)から長い場合には1週間ほど行われます。

  • MRI: てんかんの原因となる病変の有無を調べます。3テスラの高磁場MR Iと専用プロトコールで検査し、経験の豊富な放射線診断医による診断を行っています。
  • PET検査: 脳の代謝を調べます。MRIでわからなかった病変が、PET検査で明らかになることがあります。

  • SPECT検査: 脳の血流や受容体の分布を調べます。発作時SPECT検査は、てんかん発作に合わせて撮影することで、発作による血流の上昇を捉えます。てんかんの病変部位を調べるうえで、とても強力な検査です。

  • 脳磁図(MEG): 脳の活動で生じる微弱な磁場を捉えて、その活動の源が脳のどこにあるかを調べる検査です。てんかんの原因である場所を正確に知るために大事な検査です。

  • 心理検査: てんかんのある患者さんは、発作以外のことでも困っていることがあります。例えば、発達、記憶力低下、コミュニケーション障害、知的障害、多動、うつ状態、幻覚・妄想などです。患者さんの脳機能や精神状態にどんな特徴があるか、どんなことが苦手あるいは得意なのかを調べ、どのような治療あるいは対処をしたら生活が改善するかを考えるために検査を行います。

(3)検査入院

てんかんの症状を改善させるには、てんかん・てんかん発作の種類を正確に診断し、発作の種類にあった薬で治療することが重要です。薬剤治療で症状がなかなか良くならない患者さん、発作の診断が難しい患者さん、てんかん外科の検討が必要な患者さんでは、入院の上、長時間ビデオ脳波モニタリングや画像検査を中心とした詳しい検査が必要になります。入院の費用はすべて保険診療で行います。

てんかんの治療

(1).抗てんかん薬

  1. 薬の選択:発作の症状や、脳波検査の結果を元に、てんかん以外の持病への影響、他に服用している薬との飲み合わせ、将来の妊娠出産への影響なども考慮して抗てんかん薬が選択されます。当院では新しく発売された薬も積極的に取り入れています。

    少量から開始し、副作用がでないか観察しながら、発作が止まるまで量を増やします。最大量まで増やしても効果がない場合は、その薬は徐々に減らして中止あるいは他の薬と交換します。できるだけ一種類の薬で治療することを目指しますが、複数の薬を組み合わせたほうが効果的なことがあります。
  2. 薬の効果:約80%の患者さんが薬の内服によって発作が出なくなります。適切な種類の薬をいくつか試しても発作が止まらない場合は、患者さんやご家族のご希望を伺いながら、手術で発作が改善する可能性があるかどうか検討します。
  3. 服薬の継続と中止:抗てんかん薬で発作が止まった場合に服薬をいつまで続けるべきかについては、発症年齢・てんかんの種類や原因・脳波検査の結果などを考慮して判断する必要があります。薬を止めると発作が再発する可能性が高い場合には、服薬を続けることをお勧めしています。薬を減らす場合は、再発する可能性を念頭におき、定期的に脳波検査をしながら慎重に進めていきます。

(2).抗てんかん薬以外の薬物治療

代表的なものを紹介します。

  1. ACTH療法:ACTHは副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone)を略したもので、ACTHを筋肉注射する治療です。主としてウエスト症候群をはじめとする乳幼児の難治てんかんの患者さんに行われます。副作用として、感染症にかかりやすい、不機嫌になる、血圧が上がる、などがあります。
  2. ステロイド療法:ステロイド薬を大量に短期間に点滴するステロイドパルス療法、経口ステロイド薬を内服する治療などがてんかんに効果的なことがあります。
  3. ガンマグロブリン療法:大量の免疫グロブリンを点滴注射することで、てんかん発作の抑制を目指す治療です。

(3).外科治療について

てんかんの原因や種類によっては、手術がとても有効な治療となります。抗てんかん薬をいろいろ試しても発作が良くならない時は、手術ができないか良く検討することをお勧めします。NCNPてんかんセンターは、脳外科のみならず、精神科、小児神経科、神経内科を含む全ての診療科に外科治療に精通したスタッフがいて、密接な連携のもと、患者さんに最適な治療を提供しています。全ての患者さんが手術でよくなるわけではありません。手術を行う前には検査入院を受けていただき、手術で良くなる見込み、合併症のリスク、発作の改善によるメリット、手術によって予想される障害などを、慎重に総合的に判断して手術の適応を決めます。外科治療には以下のようなものがあります。

選択的海馬切除術、側頭葉前半部切除術:海馬硬化症など内側側頭葉てんかんに対して行います。切る範囲を最小限にすることで、記銘力など脳機能に与える影響を最小限にする選択的海馬切除も行っています。
病巣切除術:限局性皮質異形成や脳腫瘍、海綿状血管腫などを原因とするてんかんに対しては、てんかんの原因となっている病変を切除します。
頭蓋内電極留置術:てんかんの原因がどこにあるか、どこまで切除すれば発作がよくなるか、通常の検査のみでははっきりしない場合があります。そのようなときに、手術を行なって患者さんの脳に脳波電極を一時的に留置し(数日から2週間)、発作と脳波を記録します。NCNPてんかんセンターでは、定位的深部電極留置など、より負担のすくない方法を積極的に行なっています。
半球離断術、多脳葉離断術:片側巨脳症や大きな皮質形成障害、スタージウェーバー症候群など、大きな病変による難治てんかんに対して行います。乳幼児期早期に手術を行うことで、発作のコントロールだけではなく、発達の改善も得られます。
脳梁離断術:小児期に始まる難治てんかんの中には、脱力発作や強直発作による転倒や怪我が問題になる方がいらっしゃいます。脳梁離断術は、左右の脳をつなぐ脳梁を切断することで発作を軽減し、転倒を防ぎます。また、発作回数の軽減も得られます。
迷走神経刺激療法:左頸部にある迷走神経を電気刺激することで発作を軽減させる治療です。上記の開頭手術に比べると発作に対する効果は劣りますが、患者さんの負担が少ない外科治療です。

(4).食事療法

ケトン食を中心とした食事療法が行われます。ケトン食療法は。炭水化物、たんぱく質の摂取量と総カロリー制限し、血中のケトンを増やすことで、てんかんを治療します。主に小児期のウエスト症候群、ミオクロニー脱力てんかん、結節性硬化症などの患者さんに効果的と言われています。消化器症状、腎結石、成長障害などの副作用もあります。修正アトキンス食は糖質制限を中心とした食事療法で、比較的負担が少なく食事療法を行うことができるため、成人の患者さんでも治療が行われています。食事療法の導入は入院の上行われ、食事療法継続中は医師や栄養士の指導を受ける必要があります。

てんかんのリハビリテーション

てんかんの患者さんには、発達の遅れや身体の障害が合併することがあります。入院中は患者さんの状態に応じてリハビリテーションを受けることができます。
てんかん外科手術の予定のある患者さんには術前からリハビリテーション科スタッフが関わります。てんかん手術後は、可能な限り早期からリハビリテーションを開始し、患者さんの必要に応じて作業療法、理学療法、言語療法が行われます。また、退院後もリハビリテーションが必要な患者さんに対しては、ソーシャルワーカーと協力して地域でリハビリテーションがスムーズに継続できるように情報提供します

精神科作業療法・精神科デイケア

入院をされている患者さんを中心に、作業療法士によるストレス対処や認知機能の改善に向けた訓練、お仕事に関する相談や就労へ向けた準備のためのリハビリテーションなどを行っています。てんかん発作やてんかんに合併している精神疾患のため、社会参加や就労ができなくてお困りの方は、主治医に相談し、精神科作業療法の利用を検討してみて下さい。また、精神科デイケアでは、看護師・作業療法士・心理士・ピアスタッフなどの多職種による実践的な社会参加へ向けたトレーニングを外来の方を対象に行っています。入院から退院後の生活まで、患者さんの希望に合わせた包括的なリハビリテーションを提供します。