
神経皮膚症候群
神経皮膚症候群とは
神経皮膚症候群に共通して見られるのは、神経の症状に加えて、皮膚になんらかの症状が出現することが特徴です。これは、胎内で体ができる際に、神経系と皮膚は外胚葉という部位から発生するためです。症状は疾患によって多様ですが、神経、皮膚以外にも骨、肺や腎臓などの内臓など全身で見られ、年齢によって新たに出現したり、進行したりする場合もあります。このため、どの疾患でも定期的な医療機関への通院が必要です。また、同じ疾患でも個人差も見られます。神経線維腫症(1型、2型)、結節性硬化症のほか、てんかんを合併しやすい神経皮膚症候群として、Sturge-Weber症候群、伊藤白斑、線状脂腺母斑症候群などがあります。
神経線維腫症1型の症状
皮膚のカフェ・オ・レ斑と神経線維腫が特徴の疾患です。優性遺伝の疾患ですが、半数の患者さんは、突然変異で発症すると言われています。診断は臨床症状で行います。
- カフェオレ班は褐色で平坦な色素班で、乳幼児期から見られます。子供で0.5cm以上のものが6個以上見られると神経線維腫症1型の可能性が高いと言われています。
- 神経線維腫は皮膚にできる腫瘤で、思春期以降にできてきます。
- 学習障害、注意欠陥・多動性障害などの発達障害を合併することがあります。教育上の配慮や支援が必要となります。
- 頭部MRIでUBOと言われる信号の異常が見られることがあります。年齢とともに消退していく傾向があります。
結節性硬化症の症状
結節性硬化症は、神経や皮膚を中心として様々な合併症の見られる疾患で、臨床症状から診断されます。
- 多くの患者さんで、皮膚症状がみられます。楕円形の白斑(葉状白斑)、頰、鼻の周囲に多発する顔面血管線維腫、爪の基部などに見られる爪囲線維腫などがあります。
- 中枢神経では、で皮質下結節、上衣下結節など発生し、神経症状の原因となります。画像検査による診断が必要です。
- 神経症状では、てんかんが重要で、多くの患者さんで結節性硬化症の最初の症状です。ウエスト症候群などの乳幼児期からの難治てんかんを合併することがあります。薬剤による治療が主ですが、難治な場合には手術が必要な場合もあります。
- 上衣下巨細胞性星細胞腫は脳の側脳室に向かって大きくなる腫瘍です。大きくなると水頭症の原因になったりするため、定期的な検査を受けることや、大きさや場所によって内服薬や手術など適切な治療を受けることが必要です。
- その他の神経症状として、知的または運動発達の遅れ、学習の遅れ、発達障害が見られることがあります。
乳幼児期に見られる心臓横紋筋腫や、主として成人で問題となってくる肺、腎臓の病変など年齢により出現する病変に特徴があるため、定期的な検査や治療を受けることが重要です。
Sturge-Weber症候群の症状
- 脳軟膜血管腫、顔面の三叉神経領域のポートワイン斑(毛細血管奇形)、緑内障が特徴的です。
- 頭部の画像診断で、病変部の脳萎縮、石灰化、脳軟膜血管腫の造影効果がみられます。
- 多くの例では、知的発達や運動発達の遅れ、麻痺などを伴います。
- てんかんが多くの患者さんで見られ、抗てんかん薬のほか、病変部を切除する手術が行われることがあります。