リワークデイケアについて
はじめに
臨床心理部では、「仕事場面に焦点化した認知行動療法」と「職場連携」に力を入れたリワークデイケア(復職支援のための認知行動療法)を行っています。
プログラムに通いながら生活リズムを整え、復職に向けて困っていることや悩んでいることを一緒に解消しませんか?「再発せずに仕事をし続ける」ために、仲間と一緒に復職に向けたプロセスを歩んでいきましょう。
<リワークデイケアの紹介動画>
(2022年6月記載)
目的
当院リワークでは、【導入期】ー【中期】ー【後期(復職準備期)】という3段階に分けて、ご自身の現在地点を意識しながら、一つ一つの目標を達成して復職へのステップを進めていきます。
■復職に向けた準備を整える【導入期】
【導入期】では、規則正しい通所で生活リズムを改善しつつ、有酸素運動やストレッチなどのプログラムに参加することで、身体を動かす感覚を取り戻します。そして、他の参加者と交流を図ることで刺激を受け、孤立感を和らげていきます。
■復職後の再発への対処【中期】
症状が安定した段階で、客観的に自分を振り返ったり、ストレス場面に遭遇した際にどう対処したらよいのかを考えて、策を練ることはとても大切です。【中期】では「認知行動療法」を活用して、自分を客観的に見る(観察する)力を身に付け、ストレス対処能力を高めていきましょう。
■職場とのコミュニケーション・働き方の再考【後期(復職準備期)】
【後期】に進むと、職場と復職に向けた具体的な相談や情報共有をすることで、さらに復職に対する不安を解消していきます。再休職しないための対処や配慮事項について職場とコミュニケーションを十分に行い、復職に向けた具体的なスケジュールを決めて、気持ちの面でも復職に向けて整えていきましょう。また「キャリアデザイン」を学ぶことで、自分の強み分析やこれからの働き方を再考し、納得感をもって職場に戻ることも一つの目標になります。
特徴
■症状の客観的評価と復職の可能性
うつ症状がどの程度良くなっているのか、復職できる準備がどの程度整ってきているのかを自分で評価することは、なかなか難しいものです。スタッフが客観的に観察・評価し、定期的な個別面談を行うことで、現状や症状をフィードバックします。
■復職時のコーディネート
復職を成功させるためには、「復職したい」という明確な意志が必要ですが、それに加えて、主治医や産業医・産業保健スタッフ、人事担当者などの意見をすり合わせることも大切です。復職の見通しが立ったタイミングで「コーディネート面談」を行うことで、ご本人を中心に、職場と医療の両スタッフが連携して復職を目指していきます。
対象
以下1~5のすべてを満たす方がご参加いただけます。
- 抑うつ障害、適応障害、不安障害などの診断を受け、外来通院中の方
- 病気休暇または休職中の方
- 職場に復帰したいという意欲がある方
- 参加に関して、主治医の了解を得ている方
- 参加に関して、企業の人事または産業保健スタッフの了解を得ている方
活動曜日・時間
月曜日、木曜日 午前(半日ショートケア):9:30~12:30
火曜日、水曜日、金曜日(終日デイケア):9:30~15:30
※週5日開所しています。月曜、木曜は午前のみのショートケアとなります。
※土・日・祝祭日はお休みとなります。
プログラム
スタッフ
医師、看護師、心理療法士、ソーシャルワーカー等、多職種チームで支援します。また、キャリアコンサルタントや産業医、社会保険労務士など、専門講師によるプログラムも実施しています。
費用
保険診療により所定の料金が発生します。各種健康保険、生活保護、自立支援医療がご利用いただけます。
半日参加(ショートケア) | 終日参加(デイケア) | |
---|---|---|
(1)外来診療料 | 740円 | |
(2)特殊療法料 | 3,800円 (3,300円) |
7,500円 (7,000円) |
(3)医療費合計((1)+(2)) | 4,540円 (4,040円) |
8,230円 (7,730円) |
*各種健康保険適用により 3割負担の方((3)×0.3) |
1,360円 (1,210円) |
2,470円 (2,320円) |
*自立支援医療適用により 1割負担の方((3)×0.1) |
450円 (400円) |
820円 (770円) |
※外来診察料は再診料のことです。
※特殊療法料はデイケアの費用です。
※1年以上ご利用の方は( )内の料金になります。
利用手続き
利用申し込みの前に必ず見学をお願いしております。随時、見学・体験参加が可能です。下記問い合わせ先にお電話でご相談ください。見学時に、リワークデイケア担当医師による初診予約日のご案内をさせていただきます。
当院通院中の方
- 主治医にリワークデイケア利用についてご相談ください。(主治医からリワークデイケア担当医師に診察依頼を出します)
- リワークデイケア担当医師の診察を受けます。(利用の適否についてスタッフがカンファレンスで検討します)
- 参加可能と判断された場合、リワークデイケアスタッフとの面接を行い利用開始となります。
他院通院中の方
- 主治医にリワークデイケア利用についてご相談いただき、紹介状の作成をお願いします。
- リワークデイケア担当医師の診察を受けます。(利用の適否についてスタッフがカンファレンスで検討します)
- 参加可能と判断された場合、リワークデイケアスタッフとの面接を行い利用開始となります。
※リワークデイケア担当医の面接の結果によっては、すぐに通所開始とならない場合があります。
参考資料
休職中に活用できる社会保障制度のリーフレット
各種社会保障制度について解説している資料ですので、ご活用ください。この資料は「平成30年 精神・神経疾患研究開発費 認知行動療法を国民の生活につなげる研究」の一環で、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター、東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部、NTT東日本関東病院精神神経科 秋山剛先生により作成されました。資料内の各種データは2019年2月時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。
お問い合わせ
国立精神・神経医療研究センター病院 リワークデイケア
042-341-2711 (代表)
※「リワークデイケアについての問い合わせ」とお伝えください。
用語解説
【き】
・キャリアデザイン
働くことを通じ、なりたい姿やありたい姿を整理し、仲間と意見交換をします。
【こ】
・コーディネート面談
ご本人・会社の産業保健スタッフ・主治医・リワークスタッフが集まり、復職に向けた方向性を確認します。
・個人面談
週1回リワークスタッフと面談し、体調や復職に向けた取り組みを確認します。
・コミュニケーショントレーニング
苦手な対人場面への対処法を皆で検討したり、疑似体験することでスキルを身に着けます。
【さ】
・産業医に聞いてみよう
企業で活動している産業医から一般的な復職要件を聞き、模擬面談を受けることで面談場面に備えます。
【し】
・自分の取扱説明書
疾病とうまく付き合いつつ、働いていくための対処法を整理し、仲間と意見交換します。
・社労士に聞いてみよう
労務管理の専門家である社会保険労務士から休復職規定の確認点や社会保険制度を聞き、復職準備に役立てます。
・集団認知行動療法
物事の考え方を柔らかくしつつ、現実的で具体的な解決方法を仲間とともに考え、実験していきます。
・ジョブ・クラフティング
与えられた仕事であっても、充実感を得られる方法を自ら創意工夫し、仲間と意見交換します。
【に】
・人間関係づくりグループワーク
組織の中で協働していくために必要なスキルを体験学習を通じて学びつつ、仕事感覚を取り戻します。