重点的研究

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NCNPは難治性・希少性疾患の克服に挑戦しています

NCNPにおける研究

国立精神・神経医療研究センター 理事長・総長 中込 和幸

理事長・総長 中込 和幸

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (NCNP) は精神疾患・神経疾患・筋疾患・発達障害を克服するために設立された国立高度専門医療研究センターです。
精神疾患は、医療計画の中で対策が必要とされている5大疾病の1つで、例えばうつ病はもはや国民病とも言えますし、統合失調症なども多くの人々が苦しんでいる疾患です。また認知症などの神経疾患も非常に数が多く、その対策は現代社会の大きな課題です。いずれも発症機序の解明や治療薬の開発が進んでいますが、まだまだ克服にはほど遠いのが現状です。
一方、筋疾患、例えば筋ジストロフィーは人口1億人以上の我が国において推定で約5000人、プリオン病に至っては約500人という非常にまれな疾患です。このような希少性の疾患は、病態の解明や治療のための新しい薬の開発がなかなか進まないという状況があります。大きな理由としては、患者さんが極めて少ないため、基礎研究者はもちろん臨床研究・治験を行う医療機関や医師も少ないことです。NCNPでは、これらの希少難病からよく見かける精神・神経疾患までを対象として多くの取り組みを行っており、本ページでは治験・臨床研究を含めた様々な活動について紹介して参ります。

NCNPでは、1978年以来35年以上にわたり筋病理診断サービスを提供しています。国内の筋病理診断の7割以上が当センターで行われており、これまでに診断した件数は15,000例を超えています。検査後の検体は筋レポジトリーとして大切に保存され(下写真)、世界有数の規模を誇っています。

保管庫写真

NCNPにおける橋渡し研究について(エクソン・スキップ治療法の開発)

 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、筋肉が徐々に衰えていく、遺伝性の難病です。NCNPは、公的支援を受け、基礎研究から臨床応用に至るまで、エクソン53スキップ作用を有するビルトラルセン(NS-065/NCNP-01)の研究開発を継続的に行ってきました。ビルトラルセンを初めてヒトに投与する治験(FIH試験)は、NCNPによる医師主導治験(UMIN:000010964、NCT02081625として登録)として実施されました。DMDのように希少疾患においては、被験者の集積の困難さにより治験実施に長期間を要しますが、本治験においては、NCNPが構築した神経・筋疾患のナショナルレジストリー(Remudy)を用いて、効率的に被験者を集積することができました。以上の結果等を踏まえて、共同開発先である日本新薬(株)による企業治験が成功裏に実施され、2020年3月に、厚生労働省からビルトラルセンの早期条件付き承認を受けました。ビルトラルセンは日本で初めて実用化された核酸医薬品であり、エクソン53スキップの治療対象になるDMD患者のジストロフィン産生を回復させることにより、疾患の進行を抑制し疾患の状態を改善することが期待されます。
 ビルトラルセンは、世界に先駆けて日本で開発が進められ、厚生労働省の先駆け審査指定制度および希少疾病用医薬品の指定を受けています。現在、日本新薬(株)が実施中のDMD患者を対象にした第Ⅲ相試験および製造販売後調査により、更なる有効性および安全性の検証を行っていくことになります。NCNPは、開発に引き続き、Remudy等のレジストリーを用いてビルトラルセンの製造販売後の安全性及び有効性の評価にも貢献していきます。
 ビルトラルセンの開発にご協力を頂きました患者さまとそのご家族のご協力に対して、この場を借りて深く御礼を申し上げます。

神経研究所: 基盤的研究成果を世界に発信

筋ジス犬を対象にしたエクソン6/8スキップの効果と安全性検証

  • ジストロフィンの発現
  • 運動機能の維持
  • 血清CK値の低下
  • 明らかな毒性なし
  • 修飾アンチセンス核酸による導入効率向上

(Ann Neurol. 2009) (Nucleic Acid Ther. 2012)

筋ジスマウスを対象にしたエクソン51スキップの効果と安全性検証

  • ジストロフィンの発現
  • 血清クレアチン・キナーゼ値の低下
  • 筋張力・握力の改善
  • 明らかな毒性なし

(Mol Ther. 2010) (PNAS. 2012)(Hum Mol Genet. 2013)(Nano Lett. 2015)

患者由来細胞を対象にしたエクソン・スキップ効果検定系の確立

  • 皮膚線維芽細胞を用いた評価系構築
  • イヌで有効な配列をヒト細胞へ応用
  • ジストロフィンの発現

(PLoS One. 2010)

トランスレーショナル・メディカルセンター: 橋渡し支援

病院: 医師主導治験の実施

平成25~27年:デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象にしたエクソン53スキップ薬(NS-065/NCNP-01)の医師主導治験 (早期探索的臨床試験) を実施

  • NCNPと日本新薬株式会社が共同開発
  • 国産で初めてのモルフォリノで合成された核酸医薬品
  • モルフォリノ核酸によるエクソン53スキップ薬としては世界初
  • 本薬は平成27年10月に先駆け審査指定制度の対象品目に指定

企業治験の実施

平成28年~:日本新薬株式会社による 第Ⅰ/Ⅱ 相臨床試験が開始

令和2年~:医師主導治験および企業治験の成績に基づき、NS-065/NCNP-01の早期条件付き承認

NCNPが一体となって
疾患克服のための新規治療法開発を実施

筋ジストロフィーに関する取組み

Remudy これまで治療法が少ないとされた筋ジストロフィーを含む神経筋疾患の患者さんのために、新しい治療法を開発するための患者登録サイト Remudy
筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(MDCTN) 患者数が限られる筋ジストロフィーなどの希少疾病の臨床研究と治験を推進するための、全国規模では初の臨床試験を行うネットワーク 筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(MDCTN)
筋疾患センター NCNP病院内で、筋疾患の診療を包括的に行う、多部門が連携した診療・研究チーム(multidisciplinary team) 筋疾患センター

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