摂食障害の治療支援モデルをつくり全国に普及する

摂食障害の治療支援モデルをつくり全国に普及する

NCNPは厚生労働省の「摂食障害治療支援センター設置運営事業」の
全国拠点機関「摂食障害全国基幹センター」に指定され、
精神保健研究所行動医学研究部に事務局が設置されました。
摂食障害治療支援センターを統括して、摂食障害の地域連携のモデルづくりをしています。

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精神保健研究所/行動医学研究部ストレス研究室 安藤 哲也室長

摂食障害全国基幹センターの設置

専門家による全国摂食障害対策連絡協議会の様子
専門家による全国摂食障害対策連絡協議会を開催しました。

摂食障害は食べることの異常を特徴とする精神疾患です。体重や体型、食事やそれらをコントロールすることにとらわれ、食事制限や極端なやせ、過食、体重増加を防ぐための嘔吐などの不適切な代償行動を繰り返します。10~30代の若い女性に多いのですが、男性や中高年も少なくありません。学校での調査では神経性やせ症は女子生徒の0.2~0.4%、神経性過食症は1~2%と高率です。回復には長期間を要します。心身の成長・発達、健康、学業や職業、家庭生活、社会生活を障害し、生命の危険もあります。有効な薬物療法がなく、心理社会的治療が中心です。できるだけ早期に適切な治療を受けられるような治療支援体制が求められます。しかし、日本では相談先や専門的な治療を受けられる施設が少なく、多くの患者さんやそのご家族が治療や支援を受けられずにいます。そこで、国の対策として「摂食障害治療支援センター設置運営事業」が開始されました。

摂食障害治療支援センターを統括

摂食障害の地域連携支援体制
全国基幹センターは支援センターを統括して摂食障害の地域連携支援体制をつくりました。

全国基幹センターでは宮城、千葉、静岡、福岡の4県に設置された摂食障害治療支援センターを統括し、その活動で得られたデータを分析しています。治療支援センターでは自治体と連携して、患者さんやそのご家族、医療、行政、教育機関からの電話やメールでの相談を受けたり、摂食障害の治療をする病院を増やすために研修を行ったり、地域の住民や患者家族向けの講演会や教室を開くなどの活動をしています。2018年4月~12月までの9か月だけでも、延べ1155件の相談があり、病院紹介や助言、情報提供を行いました。半数以上が家族からの相談で、半数近くの患者さんが現在、摂食障害の治療を受けていないことがわかりました。また、他県からの相談が3割から5割を占め、治療支援センターが設置されていない都道府県でも摂食障害の相談と医療のニーズは高いことが示されました。相談事例の解析に基づいて「摂食障害治療支援コーディネーターのための相談支援の手引き」を作成しました。

摂食障害の地域連携モデルを全国に普及

指針、マニュアル、手引き、報告書
指針、マニュアル、手引き、報告書を発行しました。

私たちの事業の取り組みは第7次医療計画における都道府県の摂食障害拠点病院の参考にされます。全国基幹センターのホームページでは治療支援センターの活動を紹介し、実績報告書や「相談支援の手引き」、啓発リーフレットなどを公開しています。さらに「摂食障害情報ポータルサイト」を運営して医療、研究、支援に関する情報を発信しています。平成30年度は150万ページビュー、64万ユーザーのアクセスがありました。
行動医学研究部では専門家による研究班を組織して、全国の病院の患者数調査や精神保健福祉センターでの相談実態調査、「摂食障害に関する学校と医療のより良い連携のための対応指針」などの指針作成を行いました。NCNP精神神経疾患研究開発費研究班で作成した「摂食障害に対する認知行動療法CBT-E簡易マニュアル」を用いた神経性過食症に対する認知行動療法は平成30年度から保険収載されています。研究成果は下記「情報ポータルサイト」で公開しています。


リファレンス

摂食障害全国基幹センター:http://www.ncnp.go.jp/nimh/shinshin/edcenter/
摂食障害情報ポータルサイト(一般の方):http://www.edportal.jp/
摂食障害情報ポータルサイト(専門職の方):http://www.edportal.jp/pro/

研究部紹介

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