白質変性症・白質ジストロフィー

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白質ジストロフィーとは

大脳白質が徐々に壊れてしまう(変性といいます)進行性の疾患です。
大脳白質には、大脳皮質にある神経細胞からの連絡線維が詰め込まれています。この連絡線維は電線の銅線に相当する軸索と呼ばれる部分と、電線のビニールに相当する髄鞘と呼ばれる部分があります。髄鞘は、生まれたてではごく僅かしかなく、生後作られてきます。3歳ころにはほぼ成人同様に完成します。脳内で素早く情報のやり取りをするために髄鞘は欠かせません。
髄鞘がいったんできた後に壊れる疾患が白質ジストロフィーです。その結果、獲得していた発達を失ってしまいます。運動面では、お座りや歩行ができていた人が座ることも立つこともできなくなります。発語や視力も消えてしまいます。もっと進行すると、意識レベルが下がって意思疎通が困難になったり、呼吸や嚥下がうまくできなくなったりします。生命にかかわる重篤な疾患です。

白質ジストロフィーの症状

疾患ごとに症状とその発症時期が異なります。

  • 副腎白質ジストロフィー:最も多い白質ジストロフィーで基本的に男児が罹患します。4歳から10歳くらいに、人格変化・行動異常・知的退行などが現れます。視野障害・歩行障害・けいれん発作も現れやすい症状です。注意欠如・多動障害(AD/HD)と診断されてしまうこともあります。頭部MRIで大脳深部白質に異常信号域を認めます(図1)。治療をしないと発症後数年のうちに常時臥床状態になってしまいます。早期に造血幹細胞移植を行うと症状の進行をある程度抑えられる可能性があります。
  • 異染性白質ジストロフィー:1~2歳で発症する乳幼児型が最多。痙性麻痺と末梢神経障害を早期より同時に呈します。頭部MRIでは大脳深部白質に広範に対称的な異常信号域を認めます(図2)。

  • クラッベ(Krabbe)病:乳児型では、生後3~6か月ころ不機嫌で泣いてばかりで、四肢の筋力低下を認めます。末梢神経障害と頭部MRIでの白質異常信号を認めます。

図1.副腎白質ジストロフィー

図2.異染性白質ジストロフィー

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