感情ってどうして大事なの?

感情ってどうして大事なの?

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はじめに

みなさんは「感情」と聞くとどんなものを思い浮かべますか? 「うれしい」「たのしい」といったポジティブな感情を思い浮かべる方もいれば、「イライラ」「悲しい」「不安」などネガティブな感情を思い浮かべる方もいるでしょう。そして、ポジティブな感情は“良いもの”、ネガティブな感情は“悪いもの”と感じられるかもしれません。
しかし、実際はどんな感情もそれぞれに役割があり、私たちにとってとても大切なものです。
今回は、これらの「感情」がどうして大切なのか? ということについてお話しします。

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ネガティブな感情は悪いもの?

ネガティブな感情が生じると私たちはつらい気持ちになるため、“悪いもの”、“危険なもの”、“なくした方がよいもの”などと感じられるかもしれませんが、実際はそうではありません。
すべての感情は、生活の中で起こっている重要な情報を教えてくれる、とても大切な役割をもっています。それは、私たちが「できれば感じたくないな…」と思うようなネガティブな感情にも共通して言えることです。
以下には、一般的に“悪いもの”とみなされるような感情がどのようなもので、どんな役割を持っているのか、ということをまとめてあります。

感情の働き

いかがでしょうか? こうして見ると、一見ネガティブに思われるような感情も、私たちを守るとても重要な役割を持っていることに気付けるかもしれません。
このように、感情というのは、「今、自分の周りでどんなことが起きているのか」、「それにどのように対処すべきか」を教えてくれる“アラーム”のようなものであると言えます。
この“アラーム”が適切な場面で、適切な音量で鳴っているうちは、感情は、私たちがうまく適応していくのを手助けしてくれるものとして働きます。感情のアラームがあるからこそ、私たちは今自分が置かれている状況に気付き、適切な対処をとることができます。

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感情のアラームはいつも適切…?

しかし、この“アラーム”はときに激しく鳴りすぎたり、誤ったタイミングで鳴ってしまい、自分ではコントロールできないように感じられてしまうこともあります。そうすると、本来ならうまく適応するために働くはずの感情が、私たちを苦しめることになってしまいます。
こうなった時には、一人でできるセルフケアの方法を試したり、周りの人に相談したり、さまざまな方法で自身のストレスに対処していくことが必要になります。また、認知行動療法の取り組みを通して、感情のアラームが適切な音量で、適切なタイミングに鳴るようにコントロールしていくことや、自分でコントロールできるという自信をつけていくことを目指す、という方法もあります。

おわりに

今回は、私たちの持つ様々な感情はどうして大事なのか?というテーマについてお話ししました。すべての感情には重要な役割があるということや、感情のアラームが教えてくれている大切な内容に気付けると、ネガティブな感情の感じ方もこれまでとは違ってくるかもしれません。
記事の中に出てきた「ストレス対処法」についてはこちらの記事に、「認知行動療法」についてはこちらの記事にも詳しく載っていますので、興味を持っていただけた方は是非ご覧ください。
また、当院では、認知行動療法の考え方を取り入れたオンラインのカウンセリング・プログラムも実施しております。現在精神科や診療内科には通院していないけれど、こころの疲れを感じていたり、ストレスとうまく付き合う方法を考えてみたい、という方が対象になります。詳細は下記のボタンからご確認いただけます。今回の記事を読んで、ネガティブな感情とうまく付き合う方法を考えてみたいと感じられた方も、ご覧になってみてください。