第1回  てんかんと新型コロナウイルス①

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てんかんがある人は、新型コロナウイルスにかかると重症になる?

今回のコラム担当となりました、小児神経科の馬場信平です。

本稿は新型コロナウイルスの「第5波」が収束し、東京の1日の発症人数が30人を下回った時点で執筆しています。少々時期がずれた感はありますが、近い将来訪れるかもしれない「第6波」の前に、てんかんと新型コロナウイルスについての情報をお伝えできればと思います。

新型コロナウイルスに関して、私が外来で患者さん(のご家族)からよく受ける質問の一つは、

「新型コロナウイルスにかかると、てんかんのある人は重症になりますか?」です。

新型コロナウイルスの怖いところの一つは、特に予防接種がなかった頃は

かかっても無症状、または軽症で済む人がいる一方で、

5人の患者さんのうち1人で酸素が必要となり、

20人の患者さんに1人ではまともに呼吸ができなくなり人工呼吸器が必要になる・・・と、普通の風邪やインフルエンザでは考えられないほどに、重症となる人が多いことです。

高齢の方や、もともと心臓や肺、腎臓などに持病がある人などは重症化のリスクが高いとされます。

では、てんかんがある人はどうなのでしょうか?

本稿執筆時点では十分に調査が進んだとはいえない状況ですが、

海外からはてんかんのある人が新型コロナウイルスにかかった場合、てんかんがない人に比べ、重症になるリスクが高かった、という報告があります。

これだけで断定的なことはいえませんが、てんかんも重症化のリスクの一つである可能性はありそうです。

ただし、これは新型コロナウイルスのワクチン接種が広まる前の研究です。

新型コロナウイルスのワクチン接種により、かかってしまった場合の重症化を防ぐ効果が得られることが知られています。

事実として、本稿執筆時点での重症患者数は東京都内で10人を下回るところまで減っています。

まさに予防に勝る治療なし。

てんかんのある患者さんにとっては、重症化予防という観点からも、新型コロナウイルスワクチンは心強い味方であるといってよいでしょう。

さて、新型コロナウイルスとてんかんについて、もう一つとてもよく質問される(された)ことは、

「てんかんがある人が新型コロナウイルスワクチンを打って大丈夫か?」です。

次回の私のコラムではこの質問に関して、情報をお伝えできればと思います。

(小児神経科 馬場信平)