発表テーマ
Comorbid insomnia and sleep apnea(COMISA)の病態と白質変性との関連
発表概要
2020年4月から2023年5月までに当院睡眠外来を受診し、慢性不眠障害もしくは閉塞性睡眠時無呼吸と診断され頭部MRI画像を撮像された方を対象とした後方視的研究で、高齢者における慢性不眠障害と閉塞性睡眠時無呼吸の併存患者の白質病変は慢性不眠障害患者における白質病変と類似しており、その病態と関連する可能性を報告しました。
慢性不眠障害及び閉塞性睡眠時無呼吸は加齢とともに有病率は上昇し、両者が併存すると治療の有効性・順守率が単独障害に比較して悪化する傾向がみられることから、近年Comorbid insomnia and sleep apnea(慢性不眠障害と閉塞性睡眠時無呼吸の併存, COMISA)という疾患概念が提唱され、その背景病態に注目が集まっています。その神経学的病態として、閉塞性睡眠時無呼吸では幅広い局在で白質変性が生じておりますが、慢性不眠障害では白質変性局在に関する報告が一貫していません。本研究ではCOMISAを特徴づける白質変性局在を慢性不眠障害と閉塞性睡眠時無呼吸と比較し検討しました。
その結果、高齢者においては、COMISAにおける白質病変総容積は慢性不眠障害と類似し、閉塞性睡眠時無呼吸よりも高度である可能性が示唆されました。また、前視床放線のfractional anisotropy値がCOMISAと慢性不眠障害は類似し、閉塞性睡眠時無呼吸よりも低い可能性が示唆されました。前視床放線のfractional anisotropy値の低下は強迫性障害や大うつ病性障害でも認めることが報告されており、高齢者のCOMISAおよび慢性不眠障害における治療抵抗因子となる可能性が考えられます。今後はCOMISAにおける右視床放線のfractional anisotropy値と治療抵抗性に関する臨床症状の定量評価との関連を検討する必要があります。
