IBISS (アイビス)とは
IBICでは画像研究だけでなく、 画像研究に関する環境や道具を整備することも重要な使命と考えています。現代の研究では複数の施設からできるだけ多くの症例データを集める「多施設共同画像研究」 の確立が望まれています。IBICでは研究参加施設からの画像データを効率よく集積・管理するために、2012年よりIntegrative Brain Imaging Support System(IBISS: アイビス)という研究用のシステムを開発、使用してきました。各施設が、個人情報を取り除いた画像データをクラウドサーバ(IBISSサーバ) にアップロードし、画像はIBISSサーバ上で保管・管理されます。IBISSはこれまでNCNPが主体となる10以上の研究プロジェクトで使用されてきました。代表的なものにドーパミントランスポータSPECTの健常データベース研究があります (リファレンス1)。IBISSを使って国内8施設、のべ510人分の日本人のデータを集めて解析し、年齢と性別ごとの基準値を作成しました。各施設がIBISSにデータをアップロードし、NCNPは画像チェックの結果を施設に速やかに返しつつ、一括して画像解析を行いました。この研究データを用いたプログラムは現在国内の医療現場で広く使われています。
生まれ変わった
IBISS
IBISSは様々な多施設共同画像研究で活用されてきました。最近ではわが国を代表する公的研究費拠出機関である日本医療研究開発機構(AMED) の支援を受けた複数の研究にも使用されています。
最新の研究では、これまでに比べ非常に大容量かつ複雑なデータを扱うことが多くなってきました。IBISSは日進月歩の画像医学およびIT技術に対応するため、2021年度後半に大規模な改修と機能拡張を行いました。IBISSを最新のサーバに移転し、システムを刷新することにより、利便性の向上と機能の高速化を図りました。改修後のIBISSでは、画像データをPC上のフォルダに入れるだけで自動的に匿名化したり、送られたMRIデータに間違いがないかを撮像条件や撮像枚数から自動的にチェックしたりできる機能などを追加しました(リファレンス2)。さらに、データを遠隔画像診断サービスに転送し、読影結果を画像提供施設に返すシステムも追加しました。IBICでは今後も最新のIT技術を利用してIBISSの利便性を高め、画像研究の効率化を図り、わが国の画像研究を牽引すべく、研究環境の整備を進めていきたいと考えています。
リファレンス
- Matsuda H,Murata M, Mukai Y, Sako K, Ono H, Toyama H, Inui Y, Taki Y,Shimomura H, Nagayama H, Tateno A, Ono K, Murakami H, Kono A,Hirano S,Kuwabara S, Maikusa N, Ogawa M, Imabayashi E,Sato N,Takano H,Hatazawa J,Takahashi R. Japanese multicenter database of healthy controls for [1231]FP-CIT SPECT. European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging (2018) 45(8),1405-1416.
- 高野晴成:わが国の精神神経疾患に関する画像研究と脳病態統合イメージ ングサポートシステム (IBISS) を用いた多施設共同研究について シリーズ 精神・神経“トピックス“医療の広場 (2022) 5月 .
研究部紹介
IBIC(脳病態総合イメージングセンター)
臨床脳画像研究部 高野 晴成部長
【研究部ホームページリンク】
IBIC(脳病態総合イメージングセンター)
https://ibic.ncnp.go.jp/
▼NCNP内連携組織リンク
記事初出
「Annual Report 2021-2022」(2022年12月発行)
>広報誌
※職員の所属情報は2022年9月1日現在のものです