筋無力症

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筋無力症とは

末梢神経と筋の間の接合部の異常により筋力低下や易疲労性を認める疾患で、自己抗体による免疫機序で発症する重症筋無力症と、接合部の先天的な蛋白欠損による先天性筋無力症候群があります。これらは疾患の病態としては全く異なる疾患です。

重症筋無力症は、全身の筋力低下、易疲労性を認めますが、特に眼瞼下垂や複視といった眼症状を生じやすい特徴のほか、重症例では、嚥下障害や呼吸困難を呈してくる例もあります。これらの症状は、とくに運動後や夕方などの時間に悪化することがあります。神経から筋へ刺激を伝えるアセチルコリンという物質が分解されるのを抑え、筋でのアセチルコリン濃度を高める薬剤や、ステロイド、免疫抑制剤などの治療により、症状を改善することができる疾患です。

先天性筋無力症候群は、接合部の蛋白が欠損することで機能異常を認める遺伝性疾患で、重症筋無力症や先天性ミオパチーといった疾患と似たような症状を呈してきます。遺伝子の種類によって有効な治療は異なります。

筋無力症の症状

重症筋無力症は、全身の筋力低下、易疲労性を認めますが、特に眼瞼下垂や複視といった眼症状を生じやすい特徴があります。運動後や夕方の時間に悪化することがある一方で、休息により回復もみられます。一日の中でも変動があるため、「心の病」と誤解されてしまっている方もいるようです。原因となる自己抗体には、アセチルコリン受容体抗体、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)、LDL受容体関連蛋白(Lrp4)などが知られており、それらの原因により特徴的な症状も異なります。

先天性筋無力症候群も、症状は全身の筋力低下、易疲労性を認めます。小児とくに生後1年以内に発症する方が多いですが、筋症状が軽度な方では成人期に診断される方もいらっしゃいます。原因は自己免疫機序とは異なり、遺伝子変異による蛋白欠損が引き起こす接合部の機能異常で、現在30種類以上の遺伝子変異が報告されています。

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