連休明けやジメジメした日の「なんとなく不調かも...」解消のヒント

連休明けやジメジメした日の「なんとなく不調かも...」解消のヒント

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はじめに

ゴールデンウィークも終わりいつもの生活が戻ってきました。また、これから梅雨が始まりジメジメした日が続くと思うと、少し憂うつな気持ちにもなりますね。このような連休明けや、天気の悪い日が続く時期には「なんとなくやる気が出ない…」「集中しにくい…」「家で一日ゴロゴロしていたらむしろだるさが出てきた…」といったことがあるのではないでしょうか? 今回はそんな「なんとなく不調かも…」を解消するヒントをご紹介します。

「なんとなくやる気がでない…」は自然なことでもある

「なんとなくやる気がでない…」という状態はものすごく体調が悪い訳ではないけれど、しんどさがあるものですよね。実は、この「なんとなくやる気がでない…」が連休明けやジメジメした日が続く時期に起こるのは自然なことだといわれています。

特に、学生や新社会人、部署移動があった人など、4月から新しい環境に変わったという人の場合、ゴールデンウィーク明けにこういったことが起こりやすいかもしれません。環境の変化は誰にとっても大きな出来事ですし、休んでいたところからもう一度学校や仕事のスイッチを入れなければいけないのは大変なことです。これらをストレスと感じることはとても自然なことでしょう(※環境の変化に関するストレスについてはこちらの記事をご覧ください)。また、ジメジメした雨の日や寒い日が続くと気分も自然と落ち込みやすくなるものです。

そして、体調や気分にムラがあるのは自然なことです。毎日どんな時も元気いっぱい! ということの方が実際には少ないのですから、「なんとなくやる気が出ない…」という日があってもよいのです。なんとなくだるいながらも学校や職場で活動する…、これができていれば素晴らしいことです。

ただし、もしご自身が「今よりもちょっと気分を上げてみたい」と思われているのであれば、日々の生活にセルフケアを取り入れてみても良いかもしれません。

行動で気分を変えてみる

では、どんなセルフケアができると良いのでしょうか。どんな活動が自分を良い気分にしてくれるのか、それには様々な方法があります。
今回はその方法のひとつとして、「行動活性化」をご紹介します。「行動活性化」とは…運動、家事、買い物、趣味を楽しむなど、健康を促進してくれるような活動をすることを指します。(参考文献:「現代の認知行動療法 CBTモデルの臨床実践」著:ステファン・G・ホフマン、訳:伊藤正哉、堀越勝)
実際に当院で実施している認知行動療法でも、気分が落ち込んでいる時にはあなたにとって達成感や喜びを感じられる活動をする、ということをセルフケアのひとつとしてオススメしています。

達成感、喜び、活動と聞くと大きなことをしなければならないような気もしますが、とってもとっても小さなことで良いのです。ついでに寄ったコンビニで新作アイス買ってみよう~、とか、このハンドクリームの香り良いな~、とかそんなことです。みなさんが想像していたよりも小さい行動だったかもしれません。小さな行動では効果が感じられなさそうでしょうか? 確かにそういった意見もあります。では本当にそうか実験してみましょう! あなたにとってちょっとだけ達成感や喜びを感じられる活動は何ですか?

以下にいくつか活動の例を記載します。ご自身がやってみたいなと思うものはあるでしょうか。いつかやってみたいと思っていた活動、これまでやって気分が良くなった活動など、ぜひ色々な活動を試しながら、ご自身に合った活動を見つけてみてくださいね。


・お気に入りのペンでToDoリストや、やってみたいことリストを作成する
・お気に入りの音楽をかける
・溜まっている家事を1個だけ片付ける
・部屋に花を飾る
・読みたいと思っていた本を手にとって表紙を眺める、1ページだけ読んでみる
・近所の気になっていたお店に、おいしいものを食べに行ってみる
・美術館や博物館に行く
・本屋さんに行って好きな本を探してみる
・会いたいと思っていた友人に連絡をとってみる
・近所で散歩や運動をする

なお、ストレス対処法についてはこちらの記事にも詳しく書いてありますので、ぜひご覧ください。

10秒でできることでもOK!?

…こんな風に行動することが難しいから困っているんです、という声も聞こえてきそうです。確かに気分が乗っていない時に行動するって難しいことですよね。
私たちは気分が落ち込むと、何もする気が起きず、家に閉じこもりがちになることがあります。こうした場合、「このモヤモヤした気分が改善しない限り、何も行動する気にならない(だから何もできない)」と考える人が多いのではないでしょうか。しかしながら実は、実際に何か行動を起こすことで脳にその刺激が伝わり、「やる気スイッチ」が入ることがあるのです。
先ほどお伝えした認知行動療法では、気分と行動は密接に関連しており、「行動」が「気分」に影響を与えるといわれています。つまり、何か行動してみることで、自分の気分をコントロールできる面もあるということです。

例えば、お風呂に入る前は面倒くさいけれど、実際にお風呂に入った後には気分もすっきりしていることがありますよね。また、掃除をするまでは面倒くさいけれど、一度やり始めたら気分が乗ってきて他の場所も掃除をし始めるということもないでしょうか。

もし行動し始めるのが億劫だと感じる時には、“10秒でできる活動にする”ことがコツです。10秒だけならやってみても良いかなと思いませんか?わざわざ出かけたりしなくても、とっておいたチョコを冷蔵庫から取り出して食べる、ガムをかむ、首を回して伸びをする、窓を開けて風を感じる、といったことなら10秒くらいでできるかもしれません。ぜひ色々な方法を試しながら、ご自身に合った活動を見つけてみてくださいね。

おわりに

いかがでしたか? 今回は、連休明けやジメジメした日の「なんとなく不調かも…」を解消するヒントをご紹介しました。
なお、「いつもと明らかに体調が違う」「死にたい気持ちがある」「長く解決していない問題があり、常に強いストレスを感じている」「非常に大きなショックをうける出来事が起きた」等といった場合には、一人で抱え込まず、お近くの医療機関等に相談してみても良いかもしれません。

また、今回の記事の内容は、当院臨床心理部オンラインメンタルウェルネスサービス部門で実施している「ストレスとうまく付き合うためのプログラム」のワークブックから一部抜粋しています。
このプログラムは一対一のオンライン形式で、現在精神科や心療内科に通院されておらず、受診は必要ないけれども、こころの疲れを感じている人を対象に実施しております。実際のプログラムでは、実践経験のある臨床心理士・公認心理師と一緒に、自分は何にストレスを感じやすいのか、どんなストレス対処が自分に合っているか等、抱えているストレスや生活状況について整理したり、ストレスにうまく対処するための一工夫を考えたりしていきます。より詳しく知りたい方は下記のボタンをクリックして概要をご覧ください。