第8回抗てんかん薬を服用する際の工夫〜小児編〜

第8回
抗てんかん薬を服用する際の工夫〜小児編〜

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お子さんに薬を飲ませる際、嫌がられることが多いと思います。
皆様もご存じの通り、一般的にお薬、特に抗てんかん薬は、苦いお薬がほとんどです。
本稿ではお子さんがなかなかお薬を飲めないときの工夫についていくつかご紹介します。

まだ歯の生えていないお子さん向け

粉薬を少量の水で溶いてお団子状にする
薬1gあたりに対し4~5滴の水でペースト状に、もしくはお団子状にして、味がわかりにくい頬の内側やあごの奥のほうに塗り付けて水やぬるま湯で流し込むやり方です。

粉薬を水で溶かしてスポイトを用いて飲ませる
口のわきから頬の内側に少量ずつたらして飲ませます。このとき、勢い良く飲ませてしまうと誤嚥してしまうので注意が必要です。

離乳食開始以降のお子さん向け

スプーンの上に少量の水で溶いた粉薬を食べさせる
量が多いと飲みきれないことがあるので少量の水で溶くことがポイントです。

お薬服薬ゼリーを使用する
市販されている服薬ゼリーは7~8か月ごろのお子さんから使用することができます。
スプーンにゼリーを取り、その上に薬を乗せて再びゼリーを乗せてサンドイッチして飲ませてあげます。ゼリーと粉薬を混ぜてしまうと苦みが目立ってしまいます。薬をゼリーで包み、噛まずに飲ませてあげるようにしましょう。

学童期以降のお子さん向け

粉薬の賦形剤*の割合を増やす (*賦形剤:ふけいざい/薬を服用しやすくするために加える成分。でんぷんや乳糖など。)
通常粉薬は乳糖でかさ増しをして患者さんのもとに渡ります。苦いお薬も乳糖の割合が増えると飲みやすくなります。どのくらい嵩増ししているかは医療機関によって異なるのでかかりつけの先生にご相談ください。

粉薬や錠剤をカプセルに入れて服用する
空のカプセルが市販されており、カプセルの中に錠剤や粉薬を入れることにより味を感じにくくさせることができます。挑戦する前にカプセルが飲み込めるかどうか確認してみてください。また、カプセルが喉に張り付いて上手く飲み込めない場合はカプセルを飲む前に水を飲むなどして口を湿らせてから飲んでみてください。

ジュースやアイスクリームなどで味をマスクするやり方もありますが基本的にはお薬との影響が製薬会社で試験されていないことがほとんどです。また、組み合わせ次第で服用しにくい味になってしまうことや混ぜたもの(例えば普段の食事)を嫌いになってしまう可能性があります。そのためおすすめは出来ませんが、どうしても飲めない場合は甘みの強い飲み物や食べ物で飲ませてあげることもできます。

いずれの飲ませ方もできるだけ上体を起こし、お子様が飲み込める量を少しずつ服用させるなど、むせに注意して服用させてあげてください。

以上何点かやり方をご紹介しましたが、最も大切なことはお薬が飲めたらそのことをほめてあげることです。忙しい日常で忘れがちですが、大人が服用する場合でも苦いお薬を頑張って服用できたことを是非ねぎらってあげてください。

お薬の服用に関してわからないことがありましたらかかりつけの医師・薬剤師へ一度ご相談ください。

文責:中江美乃梨(薬剤師)