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第28回日本臨床精神神経薬理学会でポール・ヤンセン賞 学会奨励賞を受賞

NCNP 脳病態統合イメージングセンター 沖田恭治 室長が
第28回日本臨床精神神経薬理学会でポール・ヤンセン賞 学会奨励賞を受賞

2018年11月26日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)脳病態統合イメージングセンター(IBICセンター長:松田博史)臨床脳画像診断研究室室長の沖田恭治(おきた きょうじ)が第28回日本臨床精神神経薬理学会(開催時期:2018年11月14~16日; 開催地:東京ドームホテル)において、ポール・ヤンセン賞 学会奨励賞を受賞しました。

・受賞タイトル:
「Striatal dopamine D1-type receptor availability: no difference from control but association with cortical thickness in methamphetamine users (メタンフェタミン依存症者における線条体ドーパミンD1タイプ受容体と大脳皮質形態との関係)」
・発表概要:
 メタンフェタミンをはじめとする覚せい剤は依存性が強く、その依存性の形成にはメタンフェタミンのもつ線条体のドパミン分泌作用が大きな役割を果たしていると考えられています。メタンフェタミン依存症患者の線条体ドパミンD2受容体結合能が健常者と比べて低いことは、繰り返し示されてきていますが、D1受容体については、これまで死後脳研究でしか測定されていませんでした。そこで本研究では、PETおよびMRIスキャンを使って線条体のD1およびD2それぞれの受容体結合能と大脳皮質の厚さを測定しました。
 過去のメタンフェタミンをはじめとする薬物に対する依存症の患者を対象とした研究結果と同様、D2受容体結合能はメタンフェタミン依存症群で低下していましたが、D1受容体では健常群と比較し結合能に差はありませんでした。一方、メタンフェタミン依存症群では、大脳皮質全体の厚さはメタンフェタミン累積使用指数やメタンフェタミンに対する渇望に対して負の相関を示しました。さらにメタンフェタミン依存症群でD1受容体結合能は大脳皮質全体の厚さと負の相関を示しましたが、健常群では相関はみられませんでした。
 これらのことより、線条体内で分泌されたドパミンはD1およびD2受容体に結合することで、それぞれ直接路・間接路を介して大脳皮質の活動に影響を与えており、これらの受容体はメタンフェタミン使用による、ドパミンの過剰な分泌とそれによっておこる大脳皮質の過活動や形態変化に影響を与えている可能性が示唆されました。さらに、大脳皮質の厚さやメタンフェタミン累積使用指数や使用に対する渇望は、線条体ドパミンD1受容体が、メタンフェタミンの慢性使用によっておこる大脳皮質の形態的変化および薬物摂取に対する渇望の形成に大きな役割を果たしていることを示唆しています。
 本研究の結果は、線条体D1受容体へ作用する薬物が、覚せい剤依存症に対して治療的に働く可能性を示しており、今後の薬物依存症の治療開発に大きく役立つかもしれません。

脳病態統合イメージングセンター(IBIC)ホームページ

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