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世界脳週間2014 NCNPレクチャー&ラボツアー「脳の科学の最前線」(2014年7月19日)


都立5校から72名の生徒と教員の方々が集まった

 平成26年7月19日(土)、(独)国立精神・神経医療研究センター(NCNP)では、都立日比谷高校、西高校、戸山高校、昭和高校、小石川中等教育学校の生徒と教員の方々72名を対象に、「世界脳週間2014」イベントとして、脳研究の最先端の知見を分かりやすくご紹介し、研究現場の最前線を実際に体験して頂ける「脳の科学の最前線」レクチャー&ラボツアーを実施致しました。

 世界脳週間は、脳科学の科学としての意義と社会にとっての重要性を一般に啓蒙することを目的として、世界的な規模で行われるキャンペーンで、アメリカでは神経科学者が中心となり、1992年から毎年3月に「脳週間」を設け、公開講演・討論、病院や研究所の公開、学校訪問などの公開行事が企画され、実施されてきました。それに呼応して、1997年からヨーロッパにおいても「脳週間」が実施され、この両者が連携して1999年には同時期に「脳週間」を開催、さらに2000年からは、国際脳研究機構やユネスコの後援を受け、アジア・南米・アフリカの各国にも呼びかけ「世界脳週間」と銘打って世界的な規模に拡大しました。日本でもこの「世界脳週間」の意義に賛同して特定非営利活動法人 脳の世紀推進会議が主体となり活動を行っています。NCNPは高校生を主な対象として2000年当初より参画しており、15周年を迎えました。

 当日は、曇り空の下、夏休みに入ったばかりという生徒達が集まり、髙坂新一 神経研究所長より、「脳が最も難しい臓器であり、多くの若い人達に脳科学へ高い関心を持って頂きたい」との開催挨拶でスタートしました。 昭和高校からはコメディカル等医療職への進学を希望している高校生23名が出席し、将来は看護師、助産師を目指しているという2名の高校生は、「視野が広がった」「脳分野も面白いし、研究現場を知ることができてとても良かった、(将来)研究職もやってみたい」「難しい内容でも、分かりやすく面白く解説してくれるし、面白かった、来てよかった」と、笑顔で話してくれました。
 世界脳週間2014
 昭和高校の先生も、「国の研究機関であるNCNPでは、臨床現場の視察でも体験できない最先端の実験・研究的な活動を視察でき、学校の試験や勉強では得られない貴重な機会となっています。生徒たちにも将来の現場のイメージにつながる体験になり、また他の進学校の生徒さん達とも合同で刺激になります。来年も是非来たいです」と、お話し下さいました。


ラボツアーへ出発する昭和高校からの一部の班

開催プログラム

13:00~ 開会挨拶 神経研究所長 髙坂新一
13:05~ レクチャー1 脳のしくみについて
「脳はどういう構造をしていてどうやって働くのだろう?」
神経研究所 疾病研究第四部長 和田圭司
13:50~

レクチャー2 脳の病気を知る

「ミトコンドリアがうまく働かないと病気になる」

神経研究所 疾病研究第二部長 後藤雄一

15:00~

ラボツアー

■「ヒトiPS細胞から誘導した骨格筋のデモンストレーション」 遺伝子疾患治療研究部
■「脳はどのように創られるのか:
マウス胚および発生工学的手法のデモンストレーション」
疾病研究第六部
■「培養した神経細胞を用いたデモンストレーション」 疾病研究第五部
■「聞こえない超高周波音が脳を快適にするハイパーソニック・エフェクトの体験」 疾病研究第七部

さまざまな領域が関係してくる脳科学の広さ・深さについて伝える和田圭司先生の講義にて。
大脳皮質の層構造について、参加生徒から質問が相次ぎました(写真上)

ミトコンドリア脳筋症の専門家である後藤雄一先生による講義にて。
CT,MRI、SPECT画像の診断方法について質問をする生徒(写真上)

iPSラボラトリーでは、患者さんから誘導したiPS細胞を顕微鏡で観察

疾病研究第六部では、「哺乳類全胚培養装置」で、哺乳類胚の発生様式を母体内と同じ状態で見ることができ、マウスの培養画像を見て、生徒からは歓声が上がっていました。

疾病研究第五部の実験室・顕微鏡室では、初代培養樹立用の解剖操作のムービー視聴や、ミトコンドリアのライブイメージング、神経突起変性を誘導する操作の体験も行われました。

疾病研究第七部では、ハイパーソニック・エフェクトが体験できる部屋で、ボルネオで収録された高周波音と映像が流れる中、本田部長による情報環境が脳に与える影響の研究や、ハイパーソニックをもちいた情報医療の将来戦略についての講義に、参加生徒も興奮していました。

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