遺伝子疾患治療研究部では、ヒト患者および疾患モデル細胞・動物(イヌ、マイクロミニブタ、マウス)を対象とし、シングルセル解析やマルチオミクス解析などの最先端技術を駆使して、神経・筋難病を克服するための病態解明と新規治療法の研究を進めています。 神経・筋難病とは脳・脊髄・末梢神経などの神経系の異常(神経原性)、もしくは筋の異常(筋原性)により運動機能が障害される疾患です。 その中でも当部では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)や筋強直性ジストロフィー(DM1)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を中心に研究を進めています。
神経・筋難病の病態解明
神経・筋難病の発症・進行メカニズムを理解することは、新たな治療法開発の基盤となります。 当部では、ヒト患者検体や疾患モデルを用いて、シングルセル解析、空間解析、マルチオミクス解析などの最先端技術を活用し、病態形成に関わる分子・細胞メカニズムの解明を進めています。
神経・筋難病の治療法開発
神経・筋難病に対する治療法として、低分子医薬、RNA医薬、遺伝子治療、ウイルスベクター、細胞治療など、多様なモダリティの研究を進めています。 当部では、日本発のエクソン・スキップ薬「ビルテプソ(一般名:ビルトラルセン)」の開発をはじめ、これまでに培った研究開発基盤を活かし、より安全かつ有効な次世代治療法の創出を目指しています。
患者由来細胞研究
患者由来尿細胞(Urine-derived cells: UDC)は、採尿という身体的負担の少ない(非侵襲的な)方法で採取可能な細胞であり、患者の遺伝学的背景や加齢・疾患情報を保持したまま、骨格筋細胞や神経細胞へ分化誘導することが可能です(ダイレクト・リプログラミング法)。 当部では、DMDやALSなどの患者由来UDCを収集・樹立し、疾患細胞モデルバンクを構築しています。 これらを用いて病態解析や創薬評価を行うとともに、患者一人ひとりに適した個別化医療(Precision medicine)の実現を目指しています。
また、DMDでは筋症状だけでなく、中枢神経症状を伴う患者も存在します。 当部では、患者由来UDCから樹立した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた脳オルガノイドを作製し、ヒト大脳皮質様組織を再現しています。 このモデルを活用することで、自閉スペクトラム症などDMDに伴う中枢神経症状の発症メカニズムを解析し、新たな治療戦略の開発につなげる研究を進めています。







