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プレスリリース詳細



 

令和元年11月6日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
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デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(NS-089/NCNP-02)の
医師主導治験(First In Human試験)開始について
 


 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(小平市 理事長:水澤英洋、以下、NCNP)は、日本新薬株式会社(本社:京都市、社長:前川重信、以下、日本新薬)と共同研究を進めてきたアンチセンス核酸医薬品であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)治療薬(NS-089/NCNP-02)を用いて、医師主導治験(First In Human試験)を本日11月6日より開始いたします。

<開発の背景>
 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子の変異が原因で、筋の細胞膜からジストロフィン・タンパク質が失われ、徐々に筋力低下が進む難病で、男児に発症します。「エクソン・スキップ治療」は、アンチセンス核酸と呼ばれる短いDNAの様な合成核酸を用いて、メッセンジャーRNA前駆体から成熟メッセンジャーRNAが作られる過程で、タンパク質に翻訳されるエクソン領域の一部を人為的に取り除く(スキップする)ことで、アミノ酸読み取り枠のずれを修正する治療法です(イン・フレーム化といいます)。この結果、正常なジストロフィンに比べると、タンパク質の一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンが発現して筋機能の改善が期待できます。この治療でスキップの対象となるエクソンは患者の変異形式に応じて異なり、現在までに、本邦では、エクソン53スキップ薬であるNS-065/NCNP-01(ビルトラルセン)が承認審査中です。しかしながら、エクソン53スキップ薬が適応にならない患者に対して、別のエクソンを標的とした薬剤の開発が喫緊の課題となっています。
 
<開発の内容>
 NS-089/NCNP-02は、NCNPと日本新薬が共同で開発した世界初のエクソン 44 スキップ薬です。モルフォリノ核酸が本来有する高い安全性に加えて、特許出願技術である新規高活性配列探索法を用いて開発した配列連結型のモルフォリノ核酸製剤であり、高いエクソン・スキップ活性を有しています。これまでに得られた非臨床試験の結果からは、エクソン44スキップに応答する変異形式の DMD患者細胞における有効性が確認されており、病気の進行を抑えることが期待されます。

<今後の展開>
 本試験は、国産アンチセンス核酸医薬品であるNS-089/NCNP-02を、ヒトに対して初めて投与する医師主導治験であり、NCNP病院において6例のDMD患者さんに対して行われます。主要評価項目である安全性の他、NS-089/NCNP-02投与後の薬物動態、ジストロフィン・タンパク質の発現確認等の有効性についても検討を行う予定です。

■助成金
NS-089/NCNP-02の開発は、以下の助成を受けています。
・日本医療研究開発機構(AMED)研究費
2015~2017年度 難治性疾患実用化研究事業「新規配列連結型核酸医薬品を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ治療の実用化に関する研究」
2016~2020年度 臨床研究・治験推進研究事業「疾患登録システムの効果的活用に基づく筋ジストロフィーの医師主導治験、ならびに医薬品開発に資する臨床研究の実施」
2017~2019年度 難治性疾患実用化研究事業「デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する新世代ペプチド付加核酸の薬事承認を目指した探索研究」
2018年度 橋渡し研究戦略的推進プログラム「デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する新規配列連結型核酸医薬品の医師主導治験」
2019~2021年度 橋渡し研究戦略的推進プログラム「デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する新規配列連結型核酸医薬品の医師主導治験」

■用語の説明
<デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)>
DMDは、男児に発症する、もっとも頻度の高い遺伝性筋疾患で、ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞の骨組みを作るタンパク質(ジストロフィン・タンパク質)の遺伝子に変異が起こることで、正常なタンパク質が作れなくなり、筋力が低下してやがて死に至る重篤な疾患です。現在、その進行を遅らせる目的でステロイド剤による治療が行なわれていますが、それ以外に有力な治療法は存在せず、新たな治療法の開発が必要とされています。

<エクソン・スキップ治療>
アンチセンス核酸と呼ばれる短い合成核酸(DNAの様なもの)を用いて、遺伝子の転写産物(メッセンジャーRNA)のうち、タンパク質に翻訳される領域(エクソン)の一部を人為的に取り除く(スキップする)ことで、アミノ酸読み取り枠のずれを修正(これをイン・フレーム化といいます)する治療法です。正常なジストロフィン・タンパク質に比べると、その一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィン・タンパク質が発現し、筋機能の改善が期待できます。この治療の対象となるエクソンは、患者の変異形式に応じて異なり、NS-089/NCNP-02はエクソン44を対象としています。

エクソン・スキップ治療の概念図


  
最上段:健常者では、ジストロフィンのメッセンジャーRNA(mRNA)前駆体から、スプライシングを経て成熟mRNAが作られ、ジストロフィン・タンパク質が翻訳されます。
中段:エクソン45を欠失した DMDでは、エクソン44とエクソン46が連結したmRNAができますが、アミノ酸の読み枠にずれが生じ、ジストロフィンは発現しません(アウト・オブ・フレーム変異)。
下段:エクソン45を欠失した DMDを対象に、本剤 NS-089/NCNP-02を用いてエクソン44スキップを誘導し、エクソン43とエクソン46が直接連結出来る様にすると、アミノ酸の読み枠のずれは解消し、やや短いが正常に機能するジストロフィンが発現します(イン・フレーム化)。
 

【お問い合わせ先】
≪研究に関すること≫
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
神経研究所 遺伝子疾患治療研究部 部長
青木 吉嗣(あおき よしつぐ)
TEL: 042-341-2712(内線5221 or 2922)
e-mail: 

≪治験に関すること≫
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター長
小牧 宏文(こまき ひろふみ)
TEL: 042-341-2711(代表) or 2712(内線:3052)
e-mail: 

≪報道に関すること≫
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 総務課広報係
住所:〒187-8551東京都小平市小川東町4-1-1
TEL : 042-341-2711 (代表) / FAX: 042-344-6745
E-mail: 
 

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