神経研究所 武田 伸一名誉所長が、日本核酸医薬学会において特別賞を受賞しました

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2020年12月7日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP,東京都小平市,理事長:水澤英洋)神経研究所(所長:岩坪 威) 武田 伸一名誉所長が日本核酸医薬学会(開催時期:2020年11月30日~12月1日 開催地:Web開催)において、特別賞を受賞しました。

<演題名>
「国内初のデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する核酸医薬品の開発」

<研究概要>
 神経研究所の遺伝子疾患治療研究部を中心とする研究グループは、Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)について、そのモデル動物である筋ジストロフィー犬を用いて、エクソンスキップ治療の非臨床Proof of Concept(POC)を提出することができました(Ann Neurol, 2009)。その結果を出発点として、本センターは、日本新薬株式会社と共同開発契約を結んだ上で、ジストロフィン遺伝子のエクソン53スキップを誘導する治療薬(NS-065/NCNP-01,Viltolarsen)を創製しました。次に、DMD患者さんに対する早期探索的臨床試験の準備を進め、センター病院の小牧医師(現、TMCセンター長)を中心として、医師主導治験により患者を対象としてFirst in Human試験行い、安全性及び探索的な有効性を確認しました (Sci Transl Med, 2018)。本薬は同試験の結果を受けて、2015年10月厚生労働省により「先駆け審査指定制度の対象品目」として指定され、更に米国に導出することができました。続いて、日本と米国において企業による次相試験が行われ、ジストロフィン発現、臨床評価指標の上で良好な結果を得ました(JAMA Neurol, 2020; Ann Clin Transl Neurol, in press)。その結果は高く評価され、日本と米国において、承認申請のステップに進むことができ、2020年3月厚労省により条件付き早期承認を、同年8月には米国FDAから迅速承認を受けました。
 これらの業績に対し、特に、53スキップ薬の創製に努力した武田伸一(当時、遺伝子疾患治療研究部 部長)、永田哲也(当時 同室長;現 東京医科歯科大学)、日本新薬東部創薬研究所が、2020年度日本核酸医薬学会の学会特別賞を受ける栄誉に浴しました。
 治験にご参加いただいた患者の皆様、開発研究に加わった多くの皆様、そして支援していただいたセンターの皆様に深く感謝します。