精神保健研究所 精神疾患病態研究部 松本純弥 室長が第116回日本精神神経学会学術総会にて優秀発表賞を受賞しました

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2020年12月17日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)精神保健研究所(所長:金 吉晴)精神疾患病態研究部(部長:橋本亮太)の松本純弥(まつもと じゅんや)室長が、10月22日付で第116回日本精神神経学会学術総会(2020年9月28日~30日 ONLINEにて開催)において優秀発表賞を受賞しました。

写真前列/国立精神・神経医療研究センター 精神疾患病態研究部 橋本亮太部長
写真後列/左より国立精神・神経医療研究センター 精神疾患病態研究部 三浦健一郎室長、松本純弥室長、長谷川尚美リサーチフェロー

受賞演題
「大脳白質の軸索の髄鞘化、大脳白質の成熟と、認知機能・社会機能の指標である労働時間との関連」

研究概要
 大脳白質の軸索の髄鞘化、大脳白質の成熟は、認知機能や社会機能に関連すると考えられます。Diffusion Tensor Imaging(DTI)で得られる大脳白質の拡散パラメータが大脳白質線維の髄鞘化・白質成熟などの白質微細構造の変化に影響を受けることから、本研究ではDTI指標が認知・社会機能の重要な要素である労働時間と関連があるかを検討しました。精神神経疾患のない健常被験者483名を対象に賃金雇用時間、家事労働時間、学業の時間から労働時間を算出しました。DTIには3T MRIを用いて、異方性比率(FA)、放射拡散系数(RD)、平均拡散系数(MD)の3つの指標について25の関心領域で評価しました。本研究は倫理審査委員会の承認のもと被験者から書面による同意を得て実施しました。結果は、内包前脚(ALIC)と上前頭後頭束(SFO)のMD値が労働時間と有意に負の相関を示しました。労働時間を賃金雇用時間、家事労働時間、学業の時間に分けた場合にALICとSFOのMD値がそれぞれと相関を示すか検討した結果、どちらの部位のMD値も家事労働時間、学業の時間とは有意な相関がありませんでしたが、賃金雇用時間とは有意な負の相関を示しました。ALICは、皮質求心性の視床皮質路や皮質遠心性の皮質視床/網様体/橋/延髄/脊髄路などが通り、SFOは前頭葉から頭頂葉をつなぐ神経線維と考えられています。労働時間に比例してFA値は変わらずMD値が小さくなることは、大脳白質微細構造の微小な変化を示します。従ってALICとSFOのDTIによる白質微細構造の指標が、労働する能力の指標になり得る可能性が考えられました。また、労働時間の中では、家事労働時間や学業の時間ではなく、賃金雇用時間が白質微細構造の指標と関連すると思われました。

リンク:

公益社団法人 日本精神神経学会ホームページ・日本精神神経学会学術総会 優秀発表賞
https://www.jspn.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=43##2020

NCNP 精神保健研究所 精神疾患病態研究部
https://byoutai.ncnp.go.jp/