神経研究所 免疫研究部 竹脇 大貴 研究員が「日本神経免疫学会 学会賞 (最優秀賞) 」を受賞しました

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2022年11月4日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター (NCNP)

 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 免疫研究部 竹脇 大貴 研究員 (部長:山村 隆) が、『第34回日本神経免疫学会学術集会』 (開催時期:2022年10月20日~10月21日、開催地:長崎) において、『日本神経免疫学会 学会賞 (最優秀賞) 』を受賞しました。

賞状を持つ竹脇研究員と山村部長・佐藤室長の写真と、賞状の画像

写真中央/竹脇 大貴 研究員
写真右/山村 隆 部長、写真左/佐藤 和貴郎 室長

<受賞演題>
「多発性硬化症の進行に関連する病原性腸内細菌の同定と機能的意義の解明」

<研究概要>
代表的な神経難病である多発性硬化症 (MS) には、治療によく反応する再発・寛解型MSと、難治性で神経障害が蓄積していく進行型MSという二つの異なる病型が存在します。進行型MSに対する新規治療法の開発は大きなunmet needsとなっています。2020年に私達のグループは、患者さんの糞便検体を詳しく調べることで、再発・寛解型MSと進行型MSの患者さんの腸内細菌叢は、異なる特徴を持つことを明らかにしました。(Takewaki et al. PNAS. 2020) しかし、腸内細菌の異常と、病気の進行との因果関係は不明なままであり、さらに病気の進行に決定的に重要な腸内細菌を特定できておりませんでした。今回私達は、患者さんの詳しい臨床情報と、従来の方法よりも遥かに高精度な腸内細菌叢の解析技術を駆使することで、MS患者さんの病気の進行に強く関連する特定の腸内細菌種を同定しました。さらに進行型MS患者さんの糞便検体から、本菌種を単離培養し、無菌環境で飼育したMSのモデルマウスに投与したところ、マウスの神経障害が顕著に悪化することが確認されました。次に、本菌種のみを定着させたモデルマウスを免疫学的に詳しく調べることで、この菌種が特異的に持つ鞭毛が、神経炎症の悪化に極めて重要な働きをしていることを突き止めました。本研究は、MS患者さんの病気の進行に伴って増加する特定の腸内細菌が、MSの病態に深く関わっていることを示しただけでなく、特定の腸内細菌を標的とした進行型MSの全く新しい治療法の開発につながる成果であると期待されます。


<リンク>
日本神経免疫学会 http://www.neuroimmunology.jp