心のサポーター養成事業を通して地域共生社会の実現へ

心のサポーター養成事業を通して地域共生社会の実現へ

公共精神健康医療研究部は、治療が必要な精神疾患の方が
疾患の種類や地域によらずエビデンスに基づいた医療を受けられるような仕組みを作っていくことと、
精神医療以外の方法も含めて精神健康を高めていく方法を見出し普及することを目指しています。

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精神保健研究所公共精神健康医療研究部

心のサポーター養成事業とは?

NIPPON COCORO ACTIONのロゴマーク
図1:NIPPON COCORO ACTIONのロゴマーク

 厚生労働省は、メンタルヘルスに関する政策を進める上での基本理念として「精神障害にも対応した地域包括ケアシス テム」を掲げています。これは、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加 (就労など)、地域の助け合い、普及啓発 (教育など) が包括的に確保されたシステムの構築を目指すという考え方であり、地域共生社会実現のために欠かせないものとされています。
 この中の「地域の助け合い、普及啓発」の部分を担当する事業として、2021年度に厚生労働省は「心のサポーター養成事業」を開始しました。この事業はNCNPに委託され、当研究部が中心となって、地域精神保健・法制度研究部、認知行動療法センターおよび厚生労働省と連携して実施しています。
 「心のサポーター養成事業」の目的は、2時間の研修によって、傾聴を中心とした支援ができる人 (=こころサポーター) を養成することと、メンタルヘルスに関する適切な知識をもった人を増やし、社会のスティグマ (差別や偏見など)を低減し、精神疾患の有無や程度にかかわらず誰もが暮らしやすい社会の実現を目指すことです。

2021年度の実績と今後の課題

研究チーム会議中の写真
図2:研究チーム会議の様子

 私たちはこの事業が日本中に広まってほしいという願いをこめ、「NIPPON COCORO ACTION」という通称をつけ、研修プログラムを開発しました。新型コロナウイルス (オミクロン株) 感染拡大の影響も受けましたが、最終的に47人の指導者 (講師) を養成したうえで、6つの自治体において2時間のこころサポーター研修を計19回実施し、939人のこころサポーターを養成しました。アンケート調査の結果、受講した方々は、受講前に比べて、精神疾患へのスティグマが低減していました。
 今後の課題として、研修内容をさらに分かりやすく、魅力的にすることが必要です。さらに、現在は自治体に限られている実施主体を教育機関、企業、スポーツ団体などに広げていくことで誰もが受講しやすくなると考え、厚生労働省に提案をしています。
 厚生労働省は、2033年までに100万人のこころサポー ター養成を目標としています。その目標を達成し、日本で地域共生社会を作っていくために、本事業のさらなる発展が求められています。


リファレンス

心のサポーター養成事業 (NIPPON COCORO ACTION) ウェブサイト
https://cocoroaction.jp/

研究部紹介

公共精神健康医療研究部

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公共精神健康医療研究部/西大輔 部長

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研究チームのメンバー

【研究部ホームページリンク】
精神保健研究所 公共精神健康医療研究部
https://www.ncnp.go.jp/nimh/pmh/

▼NCNP内連携組織リンク


記事初出
「Annual Report 2021-2022」(2022年12月発行)
>広報誌

※職員の所属情報は2022年9月1日現在のものです