ニューロモデュレーションセンター-Neuromodulation Center-

ニューロモデュレーションセンター
-Neuromodulation Center-

  1. TOP
  2. NCNP病院について
  3. 診療科・部門紹介
  4. ニューロモデュレーションセンター-Neuromodulation Center-

特  色

ニューロモデュレーションセンターは、電気や磁気によって神経の働きを調整(モデュレート)する治療法の専門家が集まった専門的治療・研究開発を行うセンターです。
「診療・臨床研究」と「基礎研究・新規治療開発」に役割が分かれています。診療・研究開発は、病院(精神科、脳神経内科、脳神経外科、整形外科、身体リハビリテーション科、臨床研究・教育・研修部門)のスタッフ、基礎研究・新規治療開発は精神保健研究所、神経研究所、脳病態統合イメージングセンター(IBIC)、認知行動療法(CBT)センターの研究者が担い、互いに連携することで研究・開発を推進し、患者さま一人一人に合わせた高度な医療を提供しています。

neuromodulation-center-organization-chart.png

ニューロモデレーションとは

 ニューロモデュレーションとは、電気や磁気、薬剤などによって神経を刺激することで、神経の働きを調整(モデュレート)する治療法です。薬物療法で寛解に至らない、あるいは症状が遷延する精神疾患や神経疾患を有する患者さまへの新しい治療法として、研究開発が盛んな領域です。

ニューロモデュレーションセンターでは、高度・専門医療を提供し、基礎・臨床研究を推進させるほか、この領域をリードする人材育成を目指しています。

● 精神疾患のニューロモデュレーション療法

うつ病、双極性障害、統合失調症に対して電気けいれん療法(ECT)を実施しています。薬物療法が奏効しないうつ病に対してrTMS療法を実施しています。

● 精神疾患への研究段階のニューロモデュレーション療法

シータバースト刺激(TBS)、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、磁気けいれん療法(MST)などを臨床研究として実施しています。また、うつ病対象とした維持rTMS療法や、双極性障害抑うつエピソードを対象としたrTMSによる先進医療を実施しています。

● 神経疾患のニューロモデュレーション療法

脳神経外科では、パーキンソン病やジストニア、本態性振戦に対して国内の中核的な医療機関として脳深部刺激療法(DBS)のための手術や迷走神経刺激(VNS)装置埋込術を実施しています。
整形外科では脊髄刺激療法(SCS)、バクロフェン持続髄腔内投与療法(ITB)を実施しています。

実施している治療・臨床研究

当センターでは、以下の治療や臨床研究を行っています。

治療法 対象疾患
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)
関連リンク:rTMS外来
うつ病・うつ病への維持TMS療法(先進医療)、双極性障害(先進医療)、強迫性障害(臨床研究)
電気けいれん療法(ECT)
関連リンク:ECT専門外来
統合失調症・うつ病・双極性障害など
経頭蓋直流刺激(tDCS)
関連リンク:プレスリリース(2018年5月21日)
統合失調症(臨床研究)/うつ病(臨床研究)など
磁気けいれん療法(MST) うつ病(臨床研究)・双極性障害(臨床研究)
脳深部刺激(DBS)
関連リンク:脳神経外科(DBS・定位手術)
パーキンソン病・本態性振戦・ジストニア
迷走神経刺激(VNS)
関連リンク:脳神経外科(DBS・定位手術)
難治性てんかん
脊髄刺激法(SCS)
関連リンク:整形外科ページ
慢性難治性疼痛
バクロフェン髄注療法(ITB)
関連リンク:整形外科ページ
脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺
プリズム適応療法 脳卒中や脳外傷による反側空間無視(臨床研究)
ブレインマシンインターフェイス(BMI) パーキンソン病(臨床研究)・脳卒中(臨床研究)

● 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)

 コイルに電流を流したときに発生する磁場の変化によって生じる過電流で生体を刺激する技術です。規則的な刺激を繰り返し行う方法として反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)があり、本邦では2017年9月に、治療抵抗性のうつ病の治療機器が承認されました。

【対象疾患・症状】
 ・うつ病
 ・うつ病の維持療法(先進医療)
 ・双極性障害(先進医療)
 ・強迫性障害(研究)
 ・パーキンソン病(研究)

関連リンク:rTMS外来

● 経頭蓋直流刺激(tDCS)

 tDCSは頭皮上に2つのスポンジ電極を置き、1-2 mA程度の微弱な電流を流す低侵襲性脳刺激法で、神経伝達物質の調整など脳の神経活動を調整する治療法です。1回あたりの刺激時間は30分以内と比較的短く、麻酔の必要がなく、副作用のリスクが低いという利点があります。うつ症状の改善、統合失調症の幻覚・妄想や認知機能障害、社会認知機能障害、そして、運動機能障害のリハビリテーションなどへの効果が報告されています。臨床研究を積極的に実施しています。

【対象疾患・症状】
 ・統合失調症
 ・うつ病

関連リンク:プレスリリース(2018年5月21日)

● 電気けいれん療法(ECT)

 電気的刺激により脳に全般性発作を誘発し,主として気分障害や統合失調症などの精神症状の改善を図る治療法です。1938年にイタリアで初めて報告された長い歴史がありますが、現在までに全身麻酔や筋弛緩薬を使用した修正型ECTの導入、パルス波治療機の開発により安全性が大きく向上したため、高齢者へも安全にECTが実施できます。高い治療効果から、80年以上経過した現在においても緊急性の高い状態や治療抵抗性などはECTの適応となります。本邦では1年間に9万回弱の治療が実施されています。

【対象疾患・症状】
 ・うつ病
 ・双極性障害
 ・統合失調症

関連リンク:ECT専門外来

● 磁気けいれん療法(MST)

 磁気けいれん療法(MST)は,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を応用した新しい治療技術です。MSTでは発作後の回復が早く,認知機能障害が少ないとされています。

【対象疾患・症状】
 ・うつ病(研究)
 ・双極性障害(研究)
 ・統合失調症(研究)

● 脳深部刺激療法(DBS) 

 機能異常をきたしている中枢神経系疾患に対して、脳内に細い電極を植え込み、標的を電気刺激することにより、異常な神経活動を制御する治療法です。パーキンソン病や本態性振戦、ジストニアの症状を抑えることに有効な治療法で、日本では2000年4月に保険適用となりました。
この治療の特徴は、①刺激条件や刺激部位を変更することで、症状の変化に合わせた調整が可能である、②刺激による副作用を軽減させることができる、③刺激を中止することで、元の状態に戻すことが可能である、④刺激部位の組織にほとんど損傷をきたさないこと、が挙げられます。
また、近年では機械の進歩によって、電気刺激の方向を調節したり、脳活動を記録したりすることも可能になり、より副作用の少ない治療が実現されています。
国際的には、重度のトゥレット症候群(チック)や強迫性障害、うつ病、てんかんの治療にも応用が試みられています。

【対象疾患・症状】
 ・パーキンソン病
 ・振戦
 ・ジストニア
 ・トゥレット症候群(研究)
 ・うつ病(研究)
 ・強迫性障害(研究)
 ・てんかん(研究)

関連リンク:脳神経外科(DBS・定位手術

● 迷走神経刺激療法(VNS)

 難治性てんかんの方を対象とした治療法で、植込み型の電気刺激装置を用いて左頸部の迷走神経に電気刺激を与え、てんかん発作の回数を減らしたり、発作の程度を軽くしたりしようとするものです。あくまで緩和的ではありますが、脳や身体への負担が少ない、刺激をやめれば元の状態に戻せる、といったメリットがあります。日本では2010年7月から保険診療での施行が可能となりました。
国際的には、重度の抑うつ症状や頭痛に対する治療としても研究が進められています。

【対象疾患・症状】
 ・難治性てんかん
 ・抑うつ(研究)

● 脊髄刺激法(SCS)

 お薬などで痛みの治療に効果が得られない神経障害性疼痛に有効です。脊髄に微弱な電気を流すことで痛みを和らげることができます。完全に痛みを消失させることは困難ですが、痛みが和らぐことで、日常生活や仕事がしやすくなる、満足のいく生活を過ごしていただくことが可能となります。
この方法はこれまで行ってきた手術と比較しても、①身体や骨への負担が軽減される、②試験刺激により、SCSを行う前にご本人様がその効果を確認できる、③刺激装置と電極は抜去が可能な為、可逆性(取ったら元に戻る)がある、といった利点が挙げられます。
国内では1992年より保険適応で治療を行うことが可能になりました。

【対象疾患・症状】
 ・神経障害性疼痛
 ・疼痛

● プリズム適応療法

 視野を右に偏らせるプリズム眼鏡をかけた状態で,患者様にテーブル上前方に印された目標点に指差し運動を数十回行う方法です。繰り返し行うことでシフトした視覚に到達運動を順応させ,プリズム眼鏡をはずした後でも症状の改善が認められるというものです。

【対象疾患・症状】
・脳卒中や脳外傷による半側空間無視

● ブレインマシンインターフェイス(BMI)

 脳波でコンピューターを動かしたり、反対にコンピューターから神経に直接刺激を送ることで、人に五感を与える技術や機器のことを指します。体が不自由な人のコミュニケーションデバイスとしての期待が高く、社会実装に向けた技術開発が進んでいます。

【対象疾患・症状】
・パーキンソン病
・脳卒中

診療実績

精神科

2021年 2020年 2019年
ECT 795 880 824

脳神経外科

2021年 2020年 2019年 2018年 2017年
DBS植込術 7 6 17 9 6
VNS植込術 5 10 6 10 5
植込術ジェネレータ植込・交換術 23 15 32 31 24

身体リハビリテーション科

痙縮外来 92名
ボツリヌス療法 49件
プリズム療法入院 1件

専門外来・予約方法

診察日・時間

▽初診は、下記の時間で行っています。

午前

DBS外来(脳神経外科 木村)
痙縮外来(身体リハビリテーション科)
ECT/rTMS(精神科 鬼頭・野田)
脳卒中外来(身体リハビリテーション科)

受診予約方法

▽完全予約制です。
▽初診のお申し込み

受診の際の注意事項

▽他院からのご紹介がない場合、診察費とは別に、選定療養費として¥5,500(税込)を頂戴いたします。
▽健康保険証は必ずご持参ください。

ご予約

FAX:042-346-1681
国立精神・神経医療研究センター

スタッフ紹介

精神科領域

鬼頭 伸輔
役職

精神診療部長
臨床心理部長(併任)

経歴

岩手医科大学 平成11年卒(医学博士)

専門分野・資格

精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医臨床精神医学
ニューロモデュレーション(rTMS、MSTなど)

野田 隆政
役職

副精神診療部長

経歴

山梨医科大学 平成13年卒(医学博士)

専門分野・資格

精神保健指定医
精神保健判定医
日本精神神経学会専門医・指導医
日本臨床薬理学会特別指導医臨床精神医学
気分障害
ニューロモデュレーション(ECT、rTMSなど)
近赤外線光トポグラフィー

林 大祐
役職

精神診療部医員

経歴

山梨大学 平成22年卒

専門分野・資格

精神保健指定医
日本精神神経学会専門医臨床精神医学
ニューロモデュレーション(mECT、rTMS)

脳神経内科領域

高橋 祐二
役職

脳神経外科診療部長

経歴

東京大学 平成6年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本神経学会理事
日本神経学会専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
日本頭痛学会専門医神経変性疾患
片頭痛
神経遺伝学
分子生物学

脳神経外科領域

岩崎 真樹
役職

脳神経外科部長
手術・中央材料部長(兼任)

経歴

東北大医 平成9年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本脳神経外科学会専門医
日本小児神経外科学会認定医
日本てんかん学会認定臨床専門医
日本臨床神経生理学会認定医
日本てんかん学会理事・評議員
日本てんかん外科学会世話人てんかん
臨床神経生理
正常圧水頭症

整形外科領域

松井 彩乃
役職

整形外科医長

経歴

筑波大学 平成5年卒

専門分野・資格

整形外科日本専門医機構整形外科専門医(日本整形外科学会専門医)
日本リハビリテーション医学会専門医・認定医
日本体育協会公認スポーツ医
日本障害者スポーツ協会認定スポーツ医
日本ニューロリハビリテーション学会認定医

身体リハビリテーション科領域

原 貴敏
役職

身体リハビリテーション部長

経歴

岩手医科大学 平成21年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本リハビリテーション医学会専門医・指導医
身体障害者福祉法15条指定医ニューロリハビリテーション
ボツリヌス療法
高次機能障害
脳機能画像

研究・開発領域

関 和彦
役職

神経研究所
モデル動物開発研究部部長

経歴

新潟大学教育学部卒
筑波大学医学系大学院博士課程修了(医学博士)
国際武道大講師、米国Washington大学客員研究員
自然科学研究機構 生理学研究所
平成21年10月から現職
平成20年~27年JSTさきがけ研究者(兼任)資格

専門分野・資格

神経生理学
運動生理学

住吉 太幹
役職

精神保健研究所
児童・予防精神医学研究部部長

経歴

金沢大学 平成元年卒(医学博士)

専門分野・資格

精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
日本臨床精神神経薬理学会専門医・指導医
日本医師会認定産業医

阿部 十也
役職

IBIC 先進脳画像研究部部長

経歴

専門分野・資格

久我 弘典
役職

認知行動療法センターセンター長

経歴

大分大学 平成18年卒(医学博士)

専門分野・資格

日本精神神経学会専門医・指導医
厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー