2019年10月15日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター（NCNP、東京都小平市、理事長：水澤英洋）神経研究所（所長：和田圭司）疾病研究第四部第二研究室（室長：関口正幸）の竹内絵理（たけうち えり）研究員が、6th Congress of Asian College of Neuropsychopharmacology（第6回アジア神経精神薬理学会）（2019年10月11日～13日福岡市にて開催）においてOutstanding Research Award（優秀研究発表賞）を受賞しました。
受賞演題
The nucleus accumbens dopaminergic systems involve in antidepressant-like effects of a diet rich in ω-3 polyunsaturated fatty acid in mice
（高ω3多価不飽和脂肪酸食摂取による抗うつ様作用における側坐核ドパミン神経系の関与）
研究概要
必須脂肪酸のひとつω3多価不飽和脂肪酸（ω3‐polyunsaturated fatty acid）は動物行動試験において抗うつ薬様作用を示すことが知られていますが、その作用メカニズムは不明でした。本研究では、ω3多価不飽和脂肪酸を豊富に含む海産物由来オイル（クリルオイル）のマウス行動試験における抗うつ薬様作用に関して、その脳内メカニズムを明らかにしました。検討においては、まずNCNP精神保健研究所（所長：金吉晴）精神薬理研究部（部長：山田光彦）との共同研究により、報酬に関わる脳部位である「側坐核」のドパミン神経系がクリルオイルの抗うつ薬様作用に関与する可能性を突きとめました。この可能性はドーパミン受容体ブロッカーの側坐核への局所投与実験により実証されました。本研究の成果はヒトでの研究の促進に役立つことが期待されます。
なお本研究の一部は、精神・神経疾患研究開発費および文科省科研費の支援により行われました。
