国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経内科 林幼偉医師(神経研究所併任研究員)が第12回国際アフェレーシス学会・第40回日本アフェレーシス学会においてHonorable Mentioned Awardを受賞しました。

国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経内科 林幼偉医師(神経研究所併任研究員)が第12回国際アフェレーシス学会・第40回日本アフェレーシス学会においてHonorable Mentioned Awardを受賞しました。

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2019年11月1日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

受賞演題

The efficacy of plasmapheresis for multiple sclerosis and neuromyelitis optica unresponsive to steroid-pulse therapy and its immunological prognostic markers
(ステロイドパルス療法抵抗性の多発性硬化症・視神経脊髄炎に対する血液浄化療法の効果とそれを予測する免疫学的マーカー)

研究概要

多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎(NMO)は自己免疫的機序により中枢神経系の障害が起こり、多彩な神経症状の再発・寛解を繰り返す神経難病です。疾患修飾薬の普及や免疫抑制剤の調整などによりその疾患活動性の制御が可能になってきているものの、再発・増悪症状に対してはほとんどの施設でステロイドパルスの施行にとどまり、複数クール施行しても充分な寛解が得られない症例も少なくありません。このような症例に対して血液浄化療法の施行が保険収載されているもののその有効姓については明らかにされておらず、免疫吸着療法(IAPP)・二重濾過型血漿交換療法(DFPP)・単純血漿交換(PE)などの施行方法による効果は同等とされています。

当院ではそのようなステロイドパルス療法抵抗性の神経免疫性疾患症例に対して2005年から積極的に血液浄化療法を導入しており、今回2005年度から2011年度の初期5年間に行ったMS 77人(再発型(=RRMS) 45人; 進行型(=SPMS) 32人);NMO 20人と2016年度から2017年度の後期2年間に行ったMS 73人(RRMS 41人; SPMS 32人);NMO 44人を解析し、EDSSやFSなどの他覚的指標が改善した群をresponder群、自覚的改善以下にとどまる群をnon-responder群とし、plasmablastやTh1, Th17, Tregなどの免疫学的指標を比較しました。

NMOのみならずRRMSさらにSPMSにおいても血液浄化療法が効果的な症例が存在し、IAPP responderではplasmablastが低く、DFPP/PE responderではplasmablastが高く、特にMSにおいてはTh1細胞の値でIAPPの有効性を予測することが可能であることを示しました。

参考