NCNPバイオバンクの特長
バイオバンクは、血液や組織などの臨床試料と診断・検査結果などの臨床情報を収集・保管し、病気の原因解明や新しい治療法の開発など医学研究に役立てる仕組みです。NCNPバイオバンクは2012年より6つのナショナルセンターで連携し、事業を進めてきました。当バンクでは、血液やDNAに加え、脳脊髄液や脳組織など病巣に近い試料も収集しています。試料は検査や手術で採取したものを分けて頂くほか、ボランティアの患者さんや健常の方からもご提供いただいています。また、専属のスタッフが必要に応じて臨床情報の聴取も行っています。このように比較のための試料と精度の高い付随情報によって、提供できる試料の品質が高まり、より精密な研究を進めることができると考えています。試料・情報の収集・活用にあたっては、バイオバンクならではの「三方よし」=「患者よし、病院よし、バンクよし」を活動方針として病院(患者さんや医師)から試料や情報を受け取るだけでなく、研究目的で聴取した臨床情報や実施した検査結果をフィードバックすることで、診療にも可能な限り貢献することを心がけています。
精神・神経疾患克服の研究を支えたい
2023年3月までに、延べ256件のプロジェクトに試料・情報を提供してきました。うち60件は製薬会社等によるもので、特に創薬研究の分野で盛んに用いられています。また、国内に健常者や精神疾患の脳脊髄液を保有しているバンクは珍しく、認知症や精神疾患研究のための、脳脊髄液試料の利用が増えています。
2022年度はISO認定取得に向けた準備のため、試料の提供活動を縮小していましたが、 今後はNCNPバイオバンクの使命を果たせるよう体制を整えてまいります。そして試料をご提供くださった方々のご期待に沿いたいと考えています。

試料を保管しているチューブは側面のバーコードと底面のQRコードで精密に登録・管理されている
リファレンス
- NCNPバイオバンク ウェブサイト https://biobank.ncnp.go.jp/
- ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN) ウェブサイト https://ncbiobank.org/
- Matsuno H, Tsuchimine S, O'Hashi K, Sakai K, Hattori K, Hidese S, Nakajima S, Chiba S, Yoshimura A, Fukuzato N, Kando M, Tatsumi M, Ogawa S, Ichinohe N, Kunugi H, Sohya K. Association between vascular endothelialgrowth factor-mediated blood-brain barrier dysfunction and stressinduced depression. Mol Psychiatry.(2022) Sep;27(9):3822-3832.
研究部紹介 メディカル・ゲノムセンター(MGC)・バイオリソース部
バイオリソース部は、NCNPバイオバンクの基盤を担っています。皆さまのご協力により試料と情報を収集し、研究目的に沿った提供を行うことで精神・神経疾患研究の推進に貢献、その成果をベッドサイドにお届けできるよう取り組んでまいります。
>メディカル・ゲノムセンター(MGC)
▼NCNP内連携組織リンク
>NCNP病院
>神経研究所
>精神保健研究所
記事初出
「Annual Report 2022-2023」(2023年12月発行)
>広報誌>Annual Report2022-2023
※職員の所属情報は2023年9月1日現在のものです




