
小児睡眠障害外来について
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はじめに
2025/8/1
文責:松井健太郎、都留あゆみ
当院では、16歳以上(主に成人)を対象とした睡眠障害外来の他に、中学生以下を対象とした小児睡眠障害外来を開設しています。このページでは、当院の小児睡眠障害外来についてご紹介したいと思います。
1.当院の小児睡眠障害外来の特徴
成人向けの睡眠障害外来は精神科外来で初診を受け付けていますが、小児睡眠障害外来は小児科外来で初診を受け付けています。小学校高学年〜中学生の患者さんが多いですが、それより低年齢でも対応します。担当するのは脳神経小児科および精神科所属の、睡眠障害を専門とする医師です。
当院には脳神経小児科の一般外来やてんかん専門外来もあるので、睡眠・覚醒以外の問題が強く疑われる場合は、必要に応じて院内紹介をしています。
2.小児によくある睡眠・覚醒の問題について
外来に来られる患者さんはどんな悩みを持って受診されることが多いのでしょうか。代表的な疾患を、いくつかご紹介したいと思います。
概日リズム睡眠・覚醒障害
睡眠と覚醒のサイクルが社会的に許容される時間帯よりも大幅にずれることで、身体的・社会的にさまざまな問題が生じる病気です。特に多いのは、夜型生活のなかで朝望ましい時間に起きられなくなる、睡眠・覚醒相後退障害です。元々、夜型の傾向がある場合に生じやすいですが、環境変化を機に夜型化して元に戻らなくなってしまうこともあります。児童・思春期に生じる難治の入眠障害(寝つきの悪さ)の背景としても挙げられます。無理をして朝に起きて生活することで日中の眠気が慢性化したり、身体的な問題(頭痛・ふらつき・腹痛等)を伴ったりすることがあります。起立性調節障害を合併することも少なくありません。
治療を含め、詳しくはこちらのページをご覧ください。
過眠症
中学生前後に発症することのある、日中の耐え難い眠気を伴う病気の代表的な疾患として、ナルコレプシーと特発性過眠症があります。夜に十分な睡眠時間・睡眠の機会が得られているのにも関わらず、授業中に寝てしまったり、大事な試験の最中に寝てしまったり、人によっては食事中や会話中に寝てしまうこともあります。
これらの過眠症に類似した症状が出るのが、慢性的な睡眠不足です。小学校から中学校に上がるタイミングで生活パターンが変わったり、塾や習い事、部活動等により夜間に十分な睡眠時間が確保できない状態が続くと、強い日中の眠気が出現します。慢性的な睡眠不足により生じる眠気は、ナルコレプシーや特発性過眠症において生じる過眠症状と区別ができない水準となることがあります。
いずれの場合も、普段の睡眠や日中の状況について丁寧に問診を行い、必要に応じて生活習慣の見直しを行います。ナルコレプシーや特発性過眠症といった過眠症が疑われる場合には終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査で評価し、診断を行っていきます。
こちらのページもご参照ください。
覚醒障害(パラソムニア)
成人よりも小児に多い睡眠・覚醒の問題として、覚醒障害が挙げられます。ノンレム睡眠の深睡眠(徐波睡眠)から不完全に目が覚めることで生じる問題です。代表的な疾患として、睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)と睡眠時驚愕症(いわゆる夜驚症)があります。睡眠時に生じる呼吸停止(閉塞性睡眠時無呼吸)等、何らかの覚醒刺激がトリガーとなることがあるため、終夜睡眠ポリグラフ検査の実施をおすすめしています。規則正しい生活習慣を守り、寝不足を避け、ストレスや併存する睡眠障害など、原因となりそうなものがあればそれに適切に対処することが重要です。成長に伴い症状は軽くなり、無くなっていくことが多いですが、生活に支障をきたす場合は薬物療法も検討します。
3.睡眠日誌について
小児、成人に関わらず、寝付きの悪さや日中の眠気等でお困りの場合は、まずは現状把握が必要です。受診する前に、睡眠日誌などで毎日の睡眠の状態を記録してみましょう。
こちらのページに睡眠日誌の説明がありますので、参考にしてください。
おわりに
今回は、子どもの睡眠・覚醒の問題と、当院の小児睡眠障害外来のご紹介をいたしました。子どもにとっても、大人にとっても、睡眠はとても大切です。問題を抱えてお困りでいらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
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