国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所
地域精神保健・法制度研究部

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地域精神保健サービスに関するアウトカムの検討

研究の概要

本プロジェクトでは、日本の地域精神保健研究において重要度の高いアウトカムは何かを明らかにするため、当事者・家族・支援者・行政職員・研究者の合計297名に協力をいただき全3回のデルファイ調査を実施しました。結果、調査のために用意された96項目のうち、「ヘルプシーキング(援助希求)」、「居場所がある」、「希死念慮・自殺企図」、「生活の満足度」、「症状のコントロール感・コーピング」、「有害事象・副作用」、「家族の精神健康」、「社会とのつながり」、「治療の継続」、「主体性・自己決定」、「ニーズ充足度」、「支援者との関係」、「服薬・治療への態度」、「当事者と家族の関係性」、「家族の感情表出」、「日常生活能力」、「住居の安定性」、「自己肯定感」、「ストレス」、「全般的な精神症状」、「暴言・暴力」、「服薬の遵守」、「死亡(自殺)」、「精神疾患の再発」の24 項目について、重要なアウトカムであるという合意が得られました。また、当事者・家族・支援者・行政職員・研究者それぞれの立場によって各アウトカムをどの程度重要だと考えていたかを分析した結果、立場によってアウトカムの重要度には差があることも明らかとなりました。

本研究は、アウトカムの作成段階から調査手順の妥当性の検証、修正点の提案など、研究プロセスのあらゆる段階に当事者をはじめとする様々なステークホルダーが参画し実施されました。これは、日本における患者・市民参画型研究の一つの事例として意義のある研究となったと考えられます。

研究費

精神・神経疾患研究開発費.藤井千代(研究代表者):「重症精神障害者とその家族の効果的な地域生活支援体制に関する基盤的研究(No. 1-3)」.山口創生(研究分担者)「地域精神科医療・精神保健福祉実践におけるアウトカムについてのコンセンサスの模索」.研究期間:2018年4月 - 2022年3月


リンク

https://www.ncnp.go.jp/common/cms/docs/cost_report_r3_1-3.pdf
※研究の概要や成果についてご覧になれます。