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日本初、バイオバンクの国際規格 ISO 20387の認定を取得

TMIC・その他
メディカル・ゲノムセンター(MGC)バイオリソース部

メディカル・ゲノムセンター(MGC)・バイオリソース部 が運営するNCNPバイオバンクは、ISO20387の認定を日本で初めて取得しました。※
これにより、当バンクが世界水準の信頼性の高いバイオバンクであることが証明されました。

※2024年4月/他3施設同時認定

バイオバンクの国際規格作成へ

 バイオバンクとは、血液や組織などの試料を臨床情報とともに保管し、研究者に提供する機関です。2000年代以降、医学研究を効率化するために、世界各国で多くのバイオバンクが設立されてきました。しかし、各機関の取り組みにはばらつきがあり、研究者や政府などから標準化と信頼性の向上が強く求められていました。こうした背景を受けて、2014年に国際標準化機構(ISO)は専門委員会を設置し、バイオバンクの国際規格ISO 20387の作成を開始しました。NCNPからも当部の現・部長が委員として派遣され、規格の作成段階から積極的に関与しました。また、日本の国家規格(JIS Q20387:2023)化にあたっても原案作成委員長として主導的な役割を果たしました。
 2018年に発行されたISO 20387は、約180項目の要求事項から構成され、バイオバンクが提供する試料や情報の質を高め、国際的な信頼性を確保するためのルールが定められています。この規格を各機関が満たすことで、研究者が安心して高品質の試料と情報を利用できるようになります。また、研究における国際連携が進むことも期待されます。
図1 品質マネジメントシステムの概念図
図1: 品質マネジメントシステムの概念図図
 

NCNPにおける実装と今後の展望

 NCNPバイオバンクでは、2019年以降、ISO 20387の実装に取り組み、施設や設備の改修、体制の増強、480本に及ぶ文書類の整備、全スタッフの内部監査員資格の取得などを進めてきました。また、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を効果的に回す仕組みを構築し、組織全体の運用を強化しました。これらの資源や体制、能力は、日本適合性認定協会による合計4日間の審査で評価され、2024年3月に国内初となるISO 20387の認定を受けることができました。
 ISO 20387の実装は、米国や中国、欧州でも進行中です。特に中国と欧州では多数のバイオバンクが審査を受けており、2025年以降に認定数が急速に増加すると予想されています。日本においても、将来の大規模国際研究に対応するため、各疾患領域に少なくとも1つ以上の認定バイオバンクを確保することが望まれています。私たちは国際規格の国内普及を進め、日本のバイオバンク全体の信頼性を高め、世界の医学研究コミュニティで主要な役割を果たせるよう努めてま
いります。また、今後も試料と情報の品質向上に努め、精神・神経疾患の克服を目指す研究を支援し、成果を迅速に患者さんのもとへ届けるために貢献していきます。
 
図2: 主要国のISO 20387認定バンク数(2024年3月時点)
図2: 主要国のISO 20387認定バンク数(2024年3月時点)
 
試料を保管するフリーザー
試料を保管するフリーザー
スタッフによる試料梱包の様子
スタッフによる試料梱包の様子
















 

リファレンス

1.プレスリリース2024年4月24日「ナショナルセンター2機関のバイオバンクが国内初の国際規格の認定を受けました」
https://www.ncnp.go.jp/topics/detail.php?@uid=NN01DXjS30bk4UjL
2.NCNPバイオバンク ウェブサイト
https://biobank.ncnp.go.jp
 

バイオリソース部 服部功太郎 部長
 



リンク

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バイオリソース部


▼NCNP内連携組織リンク
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記事初出
「Annual Report 2023-2024」(2024年12月発行)
>広報誌>Annual Report2023-2024