概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)

どんな病気?

 私たちの体には約24時間のリズムで生理機能や行動を調節する体内時計が備わっています。体内時計が睡眠と覚醒のリズムを、地球の自転に伴う明暗周期に一致させることで、学校、仕事等の社会活動に無理なく参加することができます。ところが、体内時計のリズムが自転(明暗)周期にうまく同調しなくなると、望ましいタイミングで寝起きできなくなる結果、社会活動に参加することが難しくなります。これが概日リズム睡眠・覚醒障害とよばれる病気であり、同調障害の種類により数タイプに分けられます。

睡眠・覚醒相後退障害(DSWPD)

 極端な遅寝遅起きを特徴とします。就寝時刻になっても寝つけず夜更かしとなり、さらに起きるべき時刻に起きられず、無理に起きると心身の不調が生じます。夏休み等の長期休暇明けに出現することが多く、思春期や若年成人に多くみられます。

睡眠・覚醒相前進障害(ASWPD)

 極端な早寝早起きを特徴とします。夕方から早晩に眠気が出現し、早朝に目が覚めてしまいます。夜の団欒に参加できず、周囲が寝静まっている内から目が覚めてしまうため、多くは家族や友人の生活と乖離が生じることに苦痛を感じます。高齢者に多くみられ、加齢に伴う体内時計の機能変化が関係すると考えられています。

不規則睡眠・覚醒リズム障害(ISWRD)

 1日のなかで睡眠と覚醒が不規則に現れることが特徴です。典型的には4時間以上続けて眠れなくなり、日中頻繁に昼寝がみられます。一部の遺伝疾患に合併するほか、認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患、発達障害をもつ子供に多くみられます。

非24時間睡眠・覚醒リズム障害(Non-24)

 毎日30分から1時間程度、睡眠-覚醒リズムが後退していくのが特徴です。本来の体内時計の周期は24時間より少し長く設定されており、主に朝の太陽光が体内時計に作用しズレを調整していますが、この同調機能が何らかの原因で損なわれ、体内時計の本来の周期に従った睡眠-覚醒リズムが現れるのが病気の本態と考えられています。患者の多くは全盲者であり、網膜が機能を失い、光が体内時計に届かないことで生じます。視覚障害がない場合は、睡眠・覚醒相後退障害の病歴があり、太陽光が届きづらい室内環境で長時間生活していると生じやすいと考えられています。

交代勤務障害

 夜勤などの、通常は眠る時間帯に労働することに伴って、不眠や過剰な眠気が生じるのが特徴です。

時差障害

 海外(時差地域)への渡航により、体内時計リズムと明暗周期が一致しなくなり、不眠や過剰な眠気が生じるのが特徴です。

治療法は?

 高照度光治療器や、メラトニンと呼ばれるホルモンを用い、体内時計の同調を促す治療が行われます。入院環境下で睡眠-覚醒リズムを整える方法が有効な場合もあります。