アスリートのメンタルヘルス支援の促進へ ~国際オリンピック委員会(IOC)によるメンタルヘルス教育教材の日本語翻訳版を公開~

アスリートのメンタルヘルス支援の促進へ ~国際オリンピック委員会(IOC)によるメンタルヘルス教育教材の日本語翻訳版を公開~

  1. TOP
  2. トピックス
  3. アスリートのメンタルヘルス支援の促進へ ~国際オリンピック委員会(IOC)によるメンタルヘルス教育教材の日本語翻訳版を公開~

NCNPヘッダーロゴ.png

2022年10月13日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
印刷用PDF(907KB)

アスリートのメンタルヘルス支援の促進へ
~国際オリンピック委員会(IOC)によるメンタルヘルス教育教材の日本語翻訳版を公開~

 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)精神保健研究所の「スポーツと精神保健教育に関する検討委員会」と公益財団法人 日本オリンピック委員会(情報・医・科学部門)は、国際オリンピック委員会(IOC)が公表した、アスリートのメンタルヘルスケアに取り組むために必要な知識・スキルをガイドする教材『IOC MENTAL HEALTH IN ELITE ATHLETES TOOLKIT』の日本語翻訳版「IOCエリートアスリート用メンタルヘルスツールキット」を作成しました。
 主な使用者・読者として、スポーツ関係者(アスリートや周囲のスタッフ、クラブ・競技団体関係者等)を想定しています。このツールキットを使用することで、アスリートのメンタルヘルスに関する理解の促進、各チームや競技団体にメンタルヘルスの取り組みの導入やその方法について考える機会となることを期待しています。
 日本語翻訳版作成の際には、オリジナル版からの正確な翻訳を心がけて作成されました。今後、アスリートやスタッフのニーズに合った内容への改良版開発に取り組む予定です。多くのアスリートやスタッフが、安心して競技に取り組み、自分らしい生活を営めるよう、メンタルヘルスに関する理解を高め、精神保健向上、不調の予防や早期治療の重要性が認識され、もし不調・障害をきたした場合でも適切な対処によって回復できることへの認識が高まることが期待されます。

研究の背景

 近年、アスリートのメンタルヘルスは国際的な関心事となっています。これまで、アスリートは「強靭な精神を備え、メンタルヘルスの不調・障害とは無関係」と信じられてきました。アスリート自身もそうであるべきと考えていることが少なくありません。しかし、最近の実態調査から、アスリートにおいても一般人と同様にメンタルヘルス不調・障害を経験することが明らかになり、これらの研究知見に基づいて国際スポーツ機関・学術団体から次々と声明文書が発表されました。これらの声明文書では、アスリートのメンタルヘルス支援策の開発が急務であること、教育・医療・研究への投資の必要性が訴えられています。そこで、IOCから発表されたのが『IOC Mental Health in Elite Athletes Toolkit』でした。

 日本のスポーツ界では、アスリートのメンタルヘルスケアについて、個人やチームレベルの実践が存在する可能性はあるものの体系的なケア・支援策のあり方が整備されているとは言えない状況にあります。そのような状況を踏まえ、私たちは、国内アスリートのメンタルヘルス支援策の開発の1つの取り組みとしてIOC Mental Health in Elite Athletes Toolkitの日本語翻訳版の作成に取り組みました。

研究の内容

 翻訳の際には、オリジナル版からの正確な翻訳を心がけて作成されました。主な使用者・読者として、スポーツ関係者を意識しています。読者の方々は、このツールキットを読むことで、アスリートのメンタルヘルスに関する理解の促進、各チームや競技団体でメンタルヘルスの取り組みを導入することやその方法について考える機会となることを期待しています。とはいえ、本版は専門用語も多く含まれ、精神医学に馴染みのない方にとっては、すぐに何らかのアクションに移すことは難しいかもしれません。最初の一歩として、本ツールキットを教科書・資料として用いた研修等、メンタルヘルス専門家と共に取り組みを企画するといった使い方が考えられます。

今後の展望

 海外諸国ではアスリートや周囲のスタッフを対象にメンタルヘルス教育プログラムが実施され、研究知見が報告されています。プログラムは、メンタルヘルスに関する知識向上、援助希求/援助行動の促進を目的に行われ、いずれも効果が示されていました。私たちは、本ツールキットを用いることでアスリート自身や周囲のスタッフ、競技環境にどのような効果があるのかを、研究としてきちんと評価し、その検証結果を社会に示す役割があると考えています。
 国際的には、アスリートや周囲のスタッフへのメンタルヘルスケアシステムの整備が進められています。メンタルヘルス不調・障害を経験するアスリートの割合が、日本のアスリートで低いといった根拠はなく、他国と同様にメンタルヘルス対策が求められます。このような課題に取り組むべく、本ツールキットを用いて、日本スポーツ界の実情に応じたメンタルヘルス教育プログラムの開発と実装、その評価に、アスリートやその周囲のスタッフ、各競技団体の方々と共に取り組みたいと考えています。


■日本語翻訳版「IOCエリートアスリート用メンタルヘルスツールキット

URL:https://www.ncnp.go.jp/mental-health/ioc_toolkit.html

訳者

 日本語翻訳版は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(以下NCNP)の「スポーツと精神保健教育に関する検討委員会」のメンバーと日本オリンピック委員会 情報・医・科学部門(以下JOC情報・医・科学部門)により作成されました。

<訳者一覧(五十音順)>
江田香織(JOC情報・医・科学部門)、岡田俊(NCNP 知的・発達障害研究部)、小黒早紀(NCNP 地域精神保健・法制度研究部)、◎小塩靖崇(NCNP 地域精神保健・法制度研究部)、金吉晴(NCNP 行動医学研究部 併任:精神保健研究所 所長)、栗山健一(NCNP 睡眠・覚醒障害研究部)、住吉太幹(NCNP 児童・予防精神医学研究部)、土屋裕睦(JOC情報・医・科学部門)、土肥美智子(JOC情報・医・科学部門)、西大輔(NCNP 公共精神健康医療研究部)、橋本亮太(NCNP 精神疾患病態研究部)、藤井千代(NCNP 地域精神保健・法制度研究部)、松本俊彦(NCNP 薬物依存研究部)、山田光彦(NCNP 精神薬理研究部)
◎:スポーツと精神保健教育に関する検討委員会委員長

免責事項

 日本語翻訳版「IOCエリートアスリート用メンタルヘルスツールキット」は、国際オリンピック委員会(IOC)の許可を得て翻訳されましたが、IOCによる公式翻訳ではありません。また、掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、IOC及び当センターはご利用の皆さまが本ツールキットを用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。当サイトから、もしくは当サイトへリンクを張っている第三者のウェブサイトの内容は、それぞれ各ウェブサイトの責任で管理されるものであり、IOC及び当センターが運営、管理するものではありません。このためIOC及び当センターは、当該サイトの内容、またはそれらをご利用になったことにより生じたいかなる損害についても一切責任を負いません。

お問い合わせ先

【研究に関するお問い合わせ】
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部
小塩靖崇(おじおやすたか)
TEL:042(346)2168 FAX:042(346)2169
E-mail:ojio(a)ncnp.go.jp

【報道に関するお問い合わせ】
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 総務課 広報室
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1
TEL:042-341-2711(代表) FAX:042-344-6745
E-mail:ncnp-kouhou(a)ncnp.go.jp

※E-mailは上記アドレス(a)の部分を@に変えてご使用ください。